2014年1月27日月曜日

NZかぼちゃ日記⑧ Ground Selection(グランド・セレクション) ~Hawke's Bay~

Hawke's Bay(ホークス・ベイ)。

1年ぶりです。

やはり少し天気は不安定のようで、時折雨がぱらつきます。
少し責任を感じてしまいます。

制限速度は一般道で時速100km。
なかなかです。

こちらでは踏切で一時停止するというルールがないらしく(ほとんど列車は走っていません)、踏切をノンストップで110kmの素晴らしいスピードで駆け抜けた時は、なんとも言えない背徳感を覚えましたね。

ホークス・ベイは、地方の名称。日本語にすると「ホークス湾」となります。
その地区の町、Napire(ネイピア)が今回の目的地です。
ここは一昨日訪れたギズボーンよりも200km南です。
日本で言えば、少し北になります。

赤丸したところがネイピア。そのちょっと右上にギズボーンがあります。

ここでは、去年もお世話になったシェーンのかぼちゃ畑があります。
見渡す限りかぼちゃかぼちゃかぼちゃ。

連れてきてもらったこの畑で、なんと22ヘクタール。
東京ドーム換算で4個ちょっとです。
東京ドームには一度も行ったことありませんがきっとすごいことなのです。

シェーンの畑はどこも手入れが行き届いており、とてもきれいでした。

葉の丈も長く、ここでは日焼けの心配もなさそうでした。

なぜかとても親近感のわくシェーン。

なんと以前は高校の化学の先生だったそうです。
僕の超つたないデタラメ英語も、すぐに言っていることを汲み取ってくれて、さすがだなぁと感心しきりでした。

かぼちゃの事業を大きくするということで、先生3年目の時にお父さんに請われ、かぼちゃの生産者になったのでした。

相当畑をまわったあと、彼の選果場に来ました。
選果場は英語では「Packing House(パッキングハウス)」と言います。
ここはホークス・ベイの中でも特に大きく、そしてクオリティの高い出荷をしています。自分たちのグループ以外のかぼちゃも選果を請け負っているそうです。

水洗いされたかぼちゃを一つ一つ点検し、重さを量り、丁寧に木のコンテナ(ビンボックスといいます)に入れていました。

ニュージーランドは日本に比べたら大雑把です。

いや実はその表現は違います。

日本があまりに厳格(というか神経質?)なのです。
それは、今まで訪れたフィリピンや台湾やペルーやアメリカでもそう感じました。

日本がちょっと過敏なほど厳格なのだと。

ただ、ここのかぼちゃはほとんどが日本むけです。小さい玉は韓国に輸出されます。
だから、出来るだけ日本の基準に合わせて作業も組まれているのです。

それは相当すごいことなのです。
これは正品としては出荷されず、加工用のボックスへ分けられていました。



日本に戻ればそれが当たり前ですが、一度外に出てみると、それは全然当たり前なんかじゃないって分かります。

カルチャーショックです。

それは、海外のカルチャーにショックを受けるのではなく、日本の常識が世界の非常識という、日本のカルチャーにショックを受けるのです。

それは、良し悪しとは別のことです。


選果されたかぼちゃ達は、数日ここで風乾されます。

ただ置いておくのではなく。

巨大扇風機で乾かし続けます。

シェーンが呼ぶので振り向くと、少年のような笑顔で、フルパワーの扇風機をこちらに向けて来ました。
だからマトリックスのポーズで応えてあげました(ただのけぞっただけですが)。

乾燥を終えたかぼちゃはコンテナに運ばれていきます。

このリフトのオトウサンがかなりの腕前で、職人でした。
このコンテナの扉が閉まったら、あとはもう日本までこの扉は開きません。

出荷されるボックスから1個試食してみました。

ギズボーンから持ってきたオレンジ色のかぼちゃ(その名も「オレンジ」)と一緒に、これもMicrowave(電子レンジ)でチンしました。

シャレオツなことにペッパーがかかっていました。

シェーンのくりゆたかもやっぱり粉質でした。
甘みもありました。
ちなみにオレンジはもともとベチャ系なのですが、今の段階では顔をしかめるほどベチャではありませんでした。
でもやっぱりくりゆたかですね。

くりゆたかは作るのが難しく、他にいくつかあるニュージーランドのかぼちゃの中でも、要請がないと作らない品種なのだそうです。

全体の%にすると、かなり少ない。
なんと1%もありません。

でも、安定しておいしい。

かぼちゃには当たりハズレがあると言われます。

おいしくないかぼちゃにあたると、これほど悲しいことはない。

そう、おいしくない果物に当ってしまった時と同じです。
いや、調理する分、その労力をかけて美味しくないときたら、果物よりも悲しい、いや悔しいかもしれません。

だから、安定した食味がかぼちゃには求められるのです。

それも、東北の人の味覚にあった「ホクホク」で「甘み」のある、かぼちゃの味らしいかぼちゃ。

シェーンが教えてくれました。

くりゆたかはニュージーランドで作られているいくつかの品種の中でも、特に土地を選ぶのだそうです。

「Ground Selection」と、シェーンは言っていました。

ここだけの話、くりゆたかを作る畑は地代も相当高いそうです。

また、収穫する熟度の見極めも他の品種に比べ難しいそうです。

そのほかにも、いろいろあります。


何の気なしに、輸入のかぼちゃです。

でも、どれも同じじゃありません。

国産のかぼちゃのような、栽培のこだわりはなかなか出来ません。規模が違い過ぎるから。でも、そんな中でも出来るだけ、出来るだけ、日本に合うように、僕らが求めるように作られています。

そこまでする理由は何か。

それが彼らの生き残る道だからです。

誰かの思惑で相場が高騰したり暴落するような、そんな不安定なことはもう続けたくないからです。

港が見える丘に連れてきてもらいました。

ネイピア港です。

あのコンテナのいくつかは、シェーンのところでフォークリフト職人が積み込みをしたかぼちゃです。

ここから2週間かけていくつかの港へ寄港し、神戸へ向かいます。

いろんな人の思いを乗せて、船は港を離れます。


待っている人が多いことを僕は願っています。





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