2012年3月31日土曜日

アタリ


ん?

弘前の「虹のマート」の自販機でペットボトルのお茶を買ったら、買ってもいないコーラが出てきました。

缶をよく見ると。


なんと、アタリ缶でした。


スピーカーが入っていました。

絶望的にクジ運が悪い僕なので、にわかに舞い上がりました。

でもちょっと考えると、一生のうちのかなりのクジ運をここで使ってしまったような気もして、なんだか複雑な気持ちにもなるのです。

剪定


剪定(せんてい)って、枝を切ることだと思っていました。

言葉の意味は正しいのですが、そんなに軽いものではありませんでした。

「バヤ切り5年」という言葉があるそうです。
りんご作りを始めるなら、まずはじめに剪定の名人について、まずは5年間ひたすら「バヤ(切るべき枝)」を切って剪定を覚えなさい、ということだそうです。
切っていい枝、切ってはいけない枝、それを木全体のバランスを見て判断するそうです。木ごと、場所ごと、品種ごと、全部違うそうです。

また、剪定さえ出来れば、とりあえず食ってはいける、とも言われているそうです。

そして、剪定ほど楽しいことはない、とも聞きました。

もし剪定をするな、と言われたら、多くの人はりんご作りをやめてしまうんじゃないか。少なくとも私はやめる。先のことを考えながら、りんごの生理を考え、りんごが育ちやすいようにしてあげる。それくらい剪定って楽しいよ。

そのりんごの先生は、そう楽しそうに言うと、最後に一言、こう付け加えました。

相手の立場になって考える、ということだよ。


その先生とは7年前にたった一度だけ会っていて、「この出会いは将来きっと大切なものになるよ」と言われたのをはっきり覚えています。

僕はその時はピンときませんでしたが、人の縁で今回たまたまお会いすることが出来、また縁の不思議さを感じました。

津軽のりんご畑は、まだまだ優に1mは積雪があります。

雪というのは、上(表面)からだけでなく、下(地面)からも解けていくそうです。地面で微生物たちが活動を始め、地温が上がるからだそうです。

自然はうまくできているんだよ、と教えられました。


ありがとうございました。

2012年3月29日木曜日

傾きながらも偏らない

今日、思うところがあって、11種類のバナナを食べました。

僕はあまり、いわゆる「食べ比べ」というやつが好きではありません。
仕事上もちろん必要だし、もちろん勉強になります。
「お楽しみ」としては楽しいです。

でも、無理やり答えを出そうとする気持ちが働くような気がするのです。
分かったような気持ちにもなります。
どこか偉そうな気持ちにもなるような気がします。
頭で食べるなんて、だいいち不自然です。
こんなことばかりしていると、大切なことからどんどん離れていくような気がします。

僕が未熟者だから、この食べ比べという「研究」による成果が出ない、ということは多分にあるのですが。

でも、それを棚にあげてでも思うのです。

しょせん目安に過ぎないのです。
それを忘れてはいけないと思うのです。

今回、色々食べて、どれがどうだなんて答えが出ることを期待していたのではありません。特に食べるときのコンディション次第でおいしさが大きく左右されるバナナは。

おかげ様で、甘さとか食感とか、そんなことよりもっともっと、もっと大切なことが分かりました。
分かっていたことを、改めて確認したという感じです。


どうしても、思い入れや意識があると力が入ります。

それは、とても大切なことです。

でも、そうなることで見えなくなる、他の大切なこともあります。

そのことを知るのもまた、とてもとても大切なことです。


傾きながらも偏らない、ってことなんだと思います。

2012年3月28日水曜日

君は先に行く

ほんの小さなことから、あ、君は先に進んでいるんだな、と感じる時があります。

何かを拒否したり嫌がったりする、その理由が、今までと変わってきます。

大人の成長と子どもの成長は、スピードというより、「質」が違うのだと思います。

そうやって直面するたびに、ひとつずつ気づいていくのでしょう。それは、決まって後から。

だから大人は、子どもの成長に触れる(気づく)都度、取り残されていくような、距離が離れていくような気持ちになるのかもなぁと思います。

これからは、思いがけないように時には唐突に変化する彼女たちとの距離を探りながら、少しずつ歩幅を変えながら、僕達も成長していくのでしょう。

そんな風に思いました。


2012年3月27日火曜日

イタリアンを気軽に


僕のいる部は、まだ世間では発売されていない新商品がたくさんあって、サンプルとしていろいろ回ってくることがあります。

他の分類の商品はとても新鮮で楽しい。

今回もらったのは、女子向けカップ麺。

その名も「トマリアーナ」。

コンセプトは、イタリアンを気軽に食べる、だそうです。

サッポロ一番と品川女学院中等部3年生のコラボレーションだそうです。

えーと、なになに。。。

女性が好きな“イタリアン”と“トマト”に着目し、トマト、オニオン、ガーリックの野菜のうまみを生かした味わい深いミネストローネ風のスープに、粉チーズのコクとバジルの香りをトッピングし、イタリアンな雰囲気のカップ麺に仕上げました。ホクホクのポテト、シャキシャキのキャベツ、酸味のあるトマトダイスがカップをおいしく彩ります。

・・・だそうです。

粉チーズのコクとバジルの香りのトッピングがとてもおいしかったです。

でも、残念ながら僕が知りたいことは分かりませんでした。

明日の午前中、仙台市場イチの色男(イケメンではなく色男)が満を持して事務所にやって来るので、僕に足りないその辺について色々と教えてもらおうと思います。

何事も勉強です。

2012年3月25日日曜日

石は静かに

僕は特に石好きではないけれど、じっと見ているとなんとなくその良さがわかる気もします。

本当の石好きには、石たちが何か語りかけてくるのだろうなぁ。

僕もだんだんその気になってきたのですが、しょせん、にわか石好き。

彼らは何も、語りかけてはくれません。



2012年3月24日土曜日

童話の中へ

今日から小学校も春休み。

1年間頑張ったご褒美と、卒園のお祝いに、童話の中へ連れて行ってあげました。

銀河ステーションから出発です。


時間が止まったような、不思議な空間を抜け。

星の世界へ。

見るもの触れるもの全てに驚ける今のうちに、たくさんの驚きに触れさせてあげたいと思います。

今日の記憶をしまった引き出しを、もしかしたら一生開けることがなかったとしても、それらはいつかきっと彼女たちの何かになるのだと思うのです。

たぶん僕もそうなのでしょう。

今は、ただ楽しいこと、それだけでいいのです。

2012年3月23日金曜日

次の出逢い

新しい担当委員会は、東松島市という地区になりました。

「日本三景松島」のある松島町と石巻市の間にある市で、長渕剛が奮闘する自衛隊員のために歌った航空自衛隊松島基地があります。ブルーインパルスの本拠地でもあります。
その松島基地では、去年の津波で、駐機していた航空機28機全てが水没してしまいました。

東松島市の津波被害は甚大で、1000名を超す方々がお亡くなりになりました。
その数字は、石巻市、陸前高田市(岩手)についで、全国で3番目という被害の大きさです。
あまり知られていません。


その地区の仮設住宅団地で、新しく委員会を立ち上げることになりました。
近くに店もなく買い物がとても不便なので、その団地では共同購入の支持がとても高いそうです。

今日は最初ということもあり、ちょっと気合を入れて素敵な柑橘を持参しました。
福島丸果の佐藤さんから差し入れいただいたものに、ちょっとプラスして。

ブラッドオレンジ。甘平。晩白柚(ばんぺいゆ)。紅はるか。はるみ。木なり清見オレンジ。いよかん(弥生紅)。

みなさん、とっても喜んでくれ、次から次へと人が増えてきました。

なんて甘いんでしょう!
これ酸っぱいね!
この皮、なんて厚いんでしょう!
珍しい果物が食べられて良かったわ!

これらをかなりネイティブな土地の言葉でバリバリ言ってくれるものだから、ついていくのに精一杯。パワフルで、圧倒されました。
その迫力に少し怖気付いた僕は、一応、今回は初回だからちょっと頑張ったんですよ、と言っておきました。今日は特別なのよ、という思いを込めて。

会の最後、委員会名簿に名前を書くのをためらっていた人へ、隣に座っていた方が「せっかく知り合いになったんだから、いっしょにやりましょう!」と言っていました。もちろん土地の言葉で。


僕は、みなさんが抱える詳しい事情はまだ知りません。

月に一回のお楽しみが出来た。新しく友達が出来た。委員会に入って良かった。

そう思ってもらえるとしたら最高です。

そのお手伝いが出来ることが、僕は嬉しく思います。

これも何かのご縁。

急がずに、ゆっくりお付き合いさせて頂ければと思っています。

2012年3月22日木曜日

出逢い


担当する委員会が変わることになりました。

長い間お世話になったみなさんから、とても暖かい言葉を頂きました。

お一人からは、その方がとても大切にしている詩を、色紙に書いて僕に下さいました。

「出逢い」

とても素敵な詩です。

 すべてのふりかえる道が
 この道へ続いていたとおもえる日は
 こころがなんどでもくりかえす

 ありがとう
 ありがとう


僕もそう思います。
ずっと大切にします。

そして、次の出逢いも、大切にします。

「縁」とは不思議なものだなぁとつくづく思います。

みなさん、ありがとうございました。

また、いつか、どこかで。

2012年3月21日水曜日

記録が教えてくれること


知らなかったことが、たくさんたくさんありました。

活動の記録と、職員の体験記をまとめた冊子です。

今日の「復興を誓い合う職員・メンバーの集い」で渡されました。
みやぎ生協で働く全ての人に渡されます。

飾らない言葉で綴られた、生の記録です。

津波に追いつかれ腰まで水に浸かり流木が足にぶつかってくる中、波の勢いに必死で耐え、高齢の組合員ふたりを両手で抱えて懸命に励まし生き延びた配達職員は、僕もよく知っている後輩でした。
もし自分がその立場だったら同じことが出来ただろうかと思わずにはいられませんでした。

それぞれの場所で、持ち場で、役割を全うした仲間たちの記録です。
ほんの一部の記録です。

あの日から、聞きたくない話や絶対に納得のいかないことも少なからずありました。
まるで自分で何かをしているかのように、綺麗なだけの言葉を並べたような、あまり信用出来ないものも多く見てきたような気がします。

でも、ここにある記録は、本当のことだと思います。

触れないと薄れていく。
触れ過ぎると辟易する。
震災との距離の置き方はとても難しい。

思いがけず傷つく。傷つける。

これからもあると思います。

自分の中に、どれだけ自分以外の人がいるか。

大切なことは、そういうことなのだと思いました。

2012年3月19日月曜日

いい予感

日々の中では、失敗もたくさんあります。

僕は、あえてそれを「いい予感」と捉えたい。

次の成長へのいい予感。
調子に乗りすぎている自分への戒めとして、あえて。

今日、ほんのちょっと失敗しました。

「まあ、しゃあないな」
そう割り切って、さっぱりしたいのです。

本音は、気弱な僕の、単なる強がりです。

2012年3月18日日曜日

成長

父の実家へ、家族で墓参りへ行きました。

久し振りに会った再従姉妹(はとこ)たちに、我が家の娘達も、彼女たちも少し緊張気味。僕の従兄弟の娘たちなのですが、一人は今年春に中学生、妹は今度4年生。妹の方がうちの長女と同じ年です。

ひとの子どもは決まってそうで、見ない間にすっかり大きくなって。
たぶん、子供たち自身もお互いに色々と感じたのでしょう。

照れや戸惑いのなか、彼女たち、結局、一言も交わさずじまいでした。

到着前には、もし会ったら一緒に遊ぼう!と車中で張り切っていた我が家の娘たちだったのですが、再会までに1年半の時間が経って、前に会った時と違う雰囲気を感じたのか、変化している距離感をつかめないままだったようでした。

親たち(僕たち)につつかれて、別れ際、なんとなくさよならしていましたが、僕が車を走らせ始めると、距離が離れていくにつれ、お互い大きく大きく手を振っていました。

次に会うのはたぶんお盆かな。
今度は花火とかしようね。

甘酸っぱい感じが、なんかいいなぁと、ノスタルジックに大人は思うのです。

成長って、自分でも気が付かないほど、静かなものです。
ずっと後になって分かるものです。

交わす言葉こそなかったけれども。

それだけで、祖父母にいい報告が出来たような気がしました。

2012年3月17日土曜日

女ゴコロ

フルーツとトマトのマリアージュ、なのだそうです。


遅ればせながら、女ゴコロ、ちょっと勉強しようと思っています。

そんなこと、勉強するもんじゃないって、そんなこと、わかってはいるのです。

本を読んで勉強することじゃないだろうし、かといって実地学習というのもなかなか問題がありそうです。


僕は、マリアージュなんて言葉、出ないなぁ。
でも、マリアージュがイイね!なんてスルッと出てくるのもどうかなぁ。それはそれで見たくない自分でもあるなぁ。
そもそもマリアージュって言えば女ゴコロなのか?っていう意見もあるしなぁ。

「幸せ」「育む」「選ぶ」「共感」「誠実」「特別」「ご褒美」「学ぶ」

女ゴコロを知るにはそんなキーワードがあるそうで、解説されれば、なるほどね、と頭ではわかる。

糖度15度だよって、苦味成分はククルビタシンだよって、清見オレンジとぽんかんの掛け合わせなんだよって、そんなことばかり知ってるだけじゃダメだってことです。
清見オレンジとぽんかんのマリアージュ、っていう感じですね(←全然わかってない)。


でも、なんか、ちょっと楽しそうです。

自分になかったアンテナを立てられるんじゃないか、そんな楽しそうな予感がします。

僕にとっては、新しいチャレンジです。

応援、ご指導、ご鞭撻、よろしくお願いいたします。

2012年3月16日金曜日

39年

今日で、結婚39周年です。

僕の両親の話ですが。

僕のおすすめの宿、岩手花巻温泉郷の「大沢温泉」に行って、料理にたまげたよ!と電話の向こうで母は大喜びでした。

先月僕が行った時は茅葺き屋根の「菊水館」はまだ雪の中でした。少しは解けていたでしょうか。

父と母は、温泉を出た後、花巻の「宮沢賢治記念館」に行き、記念館敷地内にある「山猫軒」でカツカレーを食べ、平清盛のロケ地「えさし藤原の郷」に立ち寄り、と、満喫したようです。

電話の向こうから聞こえる若やいだ母の声から、楽しかった様子が伝わってきました。
おすすめしてよかったです。


僕が39周年を迎える時は63歳です。

よくわからないほど未来です。

日々は淡々と続くと信じているけれど、そんなに簡単なものじゃないことは両親が今に至るまで背中で教えてくれました。教えているつもりは毛頭ないでしょうが。

39年、すごいことだなぁ。

僕らなんか、まだまだまだまだです。

2012年3月14日水曜日

ありがとうこころをこめて

下の娘が、今日、卒園しました。

毎年必ず(特に僕が出張に出ている時に)、何回も何回も入退院を繰り返していた彼女ですが、昨年、生まれてから初めて、一度も入院をせずに過ごせました。

強くなったものです。

育てているようでいて、実は子どもが僕達を親にしてくれるんだなぁと感じています。


ホールでの卒園式終了後、各教室に戻ってから、彼女たちが歌ってくれました。

卒園おめでとう。
こちらこそ、ありがとう。


いつの間にか僕たちは 一人で歩いていたよ

6年前にこの世に生まれた 小さなこの命

晴れた日にも 雪の日にも 元気なときも 病気のときも

変わらない優しい眼差しが 僕たちを包んでくれた

気がつけば春の風が あんなに歌っているよ 

ありがとうこころをこめて

ありがとう そして さよなら

(ありがとうこころをこめて)


2012年3月13日火曜日

追悼式

今日、昨年の6月10日に執り行われた合同慰霊祭と同じ会場で、東日本大震災で犠牲になった職員の追悼式がありました。

僕達の職場では、16名の方々が津波でお亡くなりになりました。
ご遺族の皆さんもご列席されました。

ご遺族代表で、お父様を亡くされた娘さんが「父は定年まであと少しでした。その父の分まで働きます。どうか見守っていて下さい」と、追悼の言葉を述べられました。

祭壇の隅の弦楽四重奏団のみなさんが、「ふるさと」「上を向いて歩こう」を静かに追悼演奏されました。

寄り添うような、あたたかい演奏でした。

その後、列席者全員で、一輪の白い花を献花台へ捧げました。

言葉にできない思いは、音楽に、花に、時には果物に託します。
あとは、目を閉じて、静かに祈ります。
どの時代でも、どの地域でも、もしかしたら世界中でもそうかも知れません。

6月10日の合同慰霊祭の時に胸に刻んだ「大切に生きる」ということ。

今の自分を顧みて、その言葉を改めて心で繰り返しました。

四重奏楽団のみなさんが演奏する「G線上のアリア」が、途切れることなく、優しく流れていました。

2012年3月11日日曜日

しあわせ運べるように

あの日から、1年が経ちました。

津波で流された、名取市閖上(ゆりあげ)の富主姫神社跡で、偶然、神戸から来た高校生のみなさんと遭遇しました。

慰霊碑の前で、みなさんが歌ううたが、静かに流れ始めました。






神社からすぐ近くの閖上中学校の校庭には、あの日どこからか流れ着いた3艘の漁船が、1年たった今もまだ片隅に残ったまま。

まわりにあったはずの閖上の町はもうありません。

その校庭に、祈りの灯りが灯りました。


地震にも負けない 強い絆をつくり 
亡くなった方々の分も 毎日を大切に生きていこう 
傷ついたふるさとを もとの姿に戻そう  
優しい春の光のような 未来を夢み 

響き渡れ僕たちの歌 
生まれ変わるふるさとの町に 
届けたい私たちの歌 
しあわせ運べるように 

しあわせ運べるように
(しあわせ運べるように)  
     

ありがとう。ありがとう。

今があるのは、遠くの、近くの、みんなのおかげです。

みんな、ありがとう。

2012年3月10日土曜日

3月だというのに、外では勢いよく雪が降っています。

僕の住む地域は山の上なので、雪で真っ白になった家々の屋根が遠くまで見えます。

学生の頃に読んだ児童詩を思い出しました。

雪は、今この時、どんな境遇の人にも同じように降っています。

そういうことだなぁ、と思います。


今日の夜、近くの山で、2万発の花火が上がるそうです。


雪がコンコン降る。

人間は

その下で暮らしているのです。
(「雪」 山びこ学校)




2012年3月8日木曜日

はるかぜのたいこ


葉祥明(ようしょうめい)さんの絵は、不思議なほど、温度や手触りや奥行きを感じます。
大好きな作家です。

力いっぱいたたいて目を閉じると、暖かい春の野原にいるような、菜の花の香りのする風を感じるような気分になるたいこ。
「はるかぜのたいこ」は、そんな不思議なたいこの話です。


写真や絵を頭で見ようとすると、どうしてもいろんな、大人なことを考えてしまいます。
そんな時は、暖かさは感じません。

無防備な状態で見ると、素直に染みこんできて、温度や手触りを感じます。

葉祥明さんの絵は、見る人を無防備にさせるところがあるような気がします。
特に、気持ちがざわざわしている時なんかは。

淡く穏やかな色合いや、作品の多くに描かれている地平線がそうさせるのかもしれません。
でも、多分、絵の後ろにある哲学が、そう感じさせるのだと思います。

「表現のはじめに「詩」がある」。
葉祥明さんの言葉です。なるほどなぁ。

2次元の絵なのに、どこまでも続くような広がりを感じさせてくれるのは、そんなところにあるのだろうなと思います。

娘たち、2冊読んで、もう1回1冊目を読んで、ようやく寝てくれました。

安心している時の子供たちは驚くほどに無防備です。
そういう時に、感受性が育つのでしょう。

大人だってざわざわするこの頃です。
無防備でいられる時間を、できるだけたくさん作ってあげたいと思うのです。

2012年3月7日水曜日

幕張デンジャラス

千葉にある幕張メッセで、デンジャラスな人に再会しました。

その人こそ、JA鶴岡だだちゃ豆担当のデンジャラス神尾さんです。

幕張メッセで開催されている食品展示会FOODEXの出展対応職員として今日が初参戦。

鶴岡では知る人ぞ知る、デンジャラスな大胸筋の持ち主である神尾さん。
地元女子中学生から絶大な人気を誇るボディビルダーでもあります。
ボディビルの大会前には鶏のささみとだだちゃ豆が主食になるらしいです。

白いシャツのボタンが弾け飛びそうでした。

世界中から集まる食素材や新商品がひしめき並ぶ会場で、唯一人、食品展示会らしからぬ輝きを放っていました。

僕が責任を取るなら、ここでシャツ脱いでもいいっすよ、と言ってくれました。

今回のFOODEXのメインテーマは「女性目線」。

来場していた女子の皆さんの目線を独り占めするだろうなぁと思ったのですが、若干意味が違うような気もしたし、その時JA鶴岡のブースは充分人で賑わっていたので、今回のところは服を着ていてもらうことにしました。

今回はイケメン栗田さんも来ていました。

今日もイケメンでした。(写真は去年のイケメン写真)

栗田さんがブースに立つとみんな集まって来るんだけれど、私が立つとあまりお客さん近寄ってこない気がするんだよなぁ、と明るく話す神尾さん。

気のせいですよ。たぶん。


でも、やっぱり神尾さんは豆畑が似合いますね。


今度は、ぜひ仙台で。

2012年3月6日火曜日

真夜中の誘惑


名付けて、「真夜中の誘惑」。

ベトナム産の、あのどうしようもないフルーツが、見事な一品に。

チリソースっていうんでしょうか、ピリ辛のソースが、ぼんやりした甘さになんとも合う。これ、うまいっす。

僕と同い年の店長は、「あけび」と「夜のマレーシアのマーケット」をイメージして、この素材を料理してくれました。

連想と発想で、他にないものを作ってくれました。

彼は、ラーメンでも何でも、食べれば大体どんなものが味のもとになっているか分かるそうで、音楽でいう絶対音感と一緒だと思いました。「絶対味覚」とでもいうのでしょうか。

でも、何を使っているのか分るだけでは、きっと何にもならない。それだけじゃただの評論家になってしまう。

肝心なのは、それを活かす連想と発想と「腕」なのでしょう。
あと、遊び心か。
そうそう、相当な負けず嫌いも見えましたね。

たぶん、仕事抜きで、「味」が好きなんだなぁと感じました。

でも、今に全然満足していない気持ちも、ビシビシ伝わって来ました。


“我流”牛の煮込み。

超うまい。

“我流”に込められた自負とプライドがなんともいい。

的場浩司といっこく堂を足して2で割ったようなイケメン店長。
ぶっきらぼうで客に媚びないところがまた憎らしくもいい。

さりげなく書かれたお品書きの後ろにある彼の意気込みを勝手に想像しながら、次はどの“我流”を試そうか考える、そんな新しい楽しみを見つけた夜でした。

2012年3月5日月曜日

振り子

ふと、祖父の家の居間にあった振り子時計を思い出しました。

しばらく前にその時計は役目を終えて外されたのですが、最後に見たのがいつか、よく覚えていません。

まだ僕が小学生だった頃、遊び相手の従姉妹たちが不在の時は、掘りごたつに足を突っ込んで、祖父母たちとお茶っこ飲みながら、塩辛い胡瓜の漬物を手のひらに載せてはかじって、暇を持て余しながら、右に左に揺れる振り子をぼーっと見ていました。

今は振り子時計どころかその家も地震で大きく傾いたため、すべて取り壊してしまいました。


普段そんなに意識していないのだけれど、やはりその日が近づくにつれ、どんどん膨らんできます。

誰でもみんなそれぞれ、自分だけの振り子を持っているのだと思います。

同じ物を見ても、綺麗に見えたり、とても醜く見えたりすることがあります。

そんな時、振り子、揺れているなぁと思います。

知らず知らずのうちに、栄養不足になっているのかも知れません。


今日、宮崎から思いがけず葉書が届きました。
コープみやざきの日高さんからでした。

とてもあたたかく、じんわり嬉しい内容でした。

ありがとうございました。


2012年3月3日土曜日

アドバルーンが風に

近所にスーパーが新しく建ちました。

空に浮かんだアドバルーンが2つ、風に穏やかになびいていました。

とても賑わっていて、まわりでは渋滞が出来ていました。

何かが始まるときは、どこか気持ちが浮つき、そわそわするものです。

500円玉を握りしめた長女の表情もふわふわしていました。

熱を出して寝込んでいる妹のために、「はるか」を一袋買って帰りました。

娘たちが飾り付けした雛人形が、部屋の隅に鎮座していました。

明るい春になって下さい。

2012年3月2日金曜日

讃岐の国から

その方は、特別な思いを抱えて仙台に来られました。

あの地震のあと、「頑張るよ」と言って頑張れなかった仙台の友人のことを思って。

頑張れなかった理由を、知りたくて、知りたくなくて。

僕は聞かれました。

「なぜ、君は頑張れたんだ?」と。

その方の友人は、家族も皆無事で、仕事もあったそうです。
なのに、なぜ。

友人がいなくなってしまった去年の6月から、ずっと、その「なぜ」がぐるぐると心の中を回っているようでした。

理由が知りたいんだ。
でも、知るのが怖いんだ。

まもなく還暦を迎ようとしているその方は、振り絞るように胸のうちを明かしてくれました。


翌日、何箇所か、被災地を案内しました。

何か納得できるような手がかりを見つけたのか、別れ際には、幾分静かで穏やかな表情をされていたのが印象的でした。


遠く離れていたって深く傷ついている。
遠く離れているからこそ、傷が深まることもある。

そう思いました。


その方から、今日素敵な贈物が届きました。


同梱されていた手紙には「またお会いできる事を信じ、楽しみにしています」とありました。

ありがとうございました。