2010年6月29日火曜日

みかんの里から届いた便り~耕作放棄地のかぼちゃ~

東北の組合員さんにこよなく愛されている長崎県JAながさきの「産直 西海畑みかん」。
去年から、すでに取り組んでいる各県の産直に加える形で、東北6県の生協(共同購入)で取り組み始めた「サンネット産直」の産直品です。

ここ長崎県は、耕作放棄地の割合が全国1多い県。
耕作放棄地が増えている影響で、病害虫やイノシシの被害が拡大し、みかんの根をかじり木をダメにしてしまうなど、問題は深刻です。

そんな中、みかんを守る意味も込め、産地とサンネットで、耕作放棄地にかぼちゃを作る、という取り組みを今年から始めました。
かぼちゃの生産者はみなさん、産直みかんの生産者でもあります。

今年は天候がめちゃくちゃで、遅れに遅れていたかぼちゃの生育ですが、今朝、事務所に届きました。
品種は東北人が好む粉質系の「クリユタカ」という品種。

去年の秋には、セイタカアワダチソウが勢い良く生えていた耕作放棄地。
今では「ここが耕作放棄地だったの?」というほど、普通の畑に生まれ変わりました。
09年10月。手付かずの耕作放棄地。
看板にはサンネットと産地との、耕作放棄での取り組みが書かれています。
 
10年3月。すっかりかぼちゃ畑です。後ろはセイタカアワダチソウに隠れて見えなかったみかん園。

サンネット産直の「産直」は、「産消直結」の略。
産地と消費地が様々な交流を重ね、直接共通の願いを叶えていこう、という取り組みです。
中間流通を省くだけの産地直送とは違います。
ただの「商取引」ではなく、商品(作物)を通していろんな思いを交流し、お互いの暮らしがよくなる。
いつか、自然と「私の産地よ」「僕たちの消費地だ」と思えるように、みんなで育てていきたいと思っています。
 


未来にむけて、取り組みは始まったばかりです。

2010年6月26日土曜日

あのときのバナナをもう一度。~バナナのつどい~


生協には年に2回、組合員さんが企画する「組合員のつどい」という催しがあります。

生協からのお知らせ、事業報告、その時々のテーマにそった学習会などを、宮城県内各地区単位で行うものですが、それだけでは少し真面目すぎる。せっかく集まるのだから、お楽しみだってほしいのです。

今年私が担当している「中田D委員会」(地区単位の組合員組織)では、バナナの学習会を開催することになりました。3年前にこのつどいでやったところ大盛況で、またやって~という組合員さんからの要望にお答えしました。

今回主にお話したのは私でしたが、多くの皆さんのご協力をいただき、組合員さんに喜んでもらうことが出来ました。

年前に出張したペルーの有機栽培バナナの話を中心に、「中田D委員会」のみなさんが紙面でずっと出てくれたエコバナナ(また出てたねと有名になったそうです)や、台湾バナナ、ラカタンバナナ、極選バナナ、甘熟王などなど数種類のバナナを食べ比べしたり、KIFA松本さんのお手製バナナジュースを飲んでいただいたりと、バナナバナナバナナづくしでした。もちろんおみやげもバナナ。(写真は熱く説明するパティシエ松本さん)

共同購入で届くたった一房のバナナだけど、ここまで届くのには、現地の生産者、作業者、輸入商社、色付けをする方、現地を確認する方と、多くの人達の手がかかっていて、ようやく甘くておいしいバナナが届くんです、ということを知ってもらいたかったのでした。少しでも伝わっていたらうれしいなぁ。

今回ご協力いただいた、ドール森山さん、住商フルーツ佐々木さん、KIFA松本さん、日生協栗原さん、本当にありがとうございました。

会終了後、参加されたある組合員さんからうれしい感想をいただきました。

「お疲れさまでしたm(__)m

コープで扱っている、安心安全のバナナですが、今日、参加させて頂けたお蔭様で、その美味しさの秘密も教えていただけ、感謝でした。その上、富沢店で売っていても 他の店では売っていなかったりする、ラカタンバナナまでお土産に頂いて 嬉しかったです(*^_^*)どうもありがとうございました。」


組合員さんがいる生協はいいなぁ、としみじみ感じた昼下がりでした。


2010年6月23日水曜日

みやぎの産直、自慢のトマト

宮城県内で一番読まれている新聞、「河北新報」。
その河北新報に、毎週金曜日、地域情報が掲載されている「週間O-le(オーレ)」というフリーペーパーが折込まれます。県内発行部数48万部のそのフリーペーパーに、みやぎ生協の産直桃太郎トマトが掲載されることになり、取材がありました。

産直桃太郎トマトは、今年40周年を迎えたみやぎ生協の産直の中でも、一番の看板商品。樹上でぎりぎりまで熟度を上げてから収穫するので、青もぎするトマトのように店持ちはしないのですが、その分うまいうまい。甘さだけじゃない、深い味の濃さは毎年期待を裏切りません。組合員さんみんなが待っているトマトです。
今回お伺いした角田市の生産者、仙石さんはさすが初代部会長だけあって、取材もお手の物。天候不順の影響でトマトの実ではなく木に栄養が行ってしまう状況を、「子ども手当を親が使うようなものだ」と時事ネタをからめて例えるあたり、素敵です。

25年トマトを作ってきて、こんなに厳しく、先の読めない年は初めて、という仙石さん。
産直トマトのこだわりの話になると厳しい表情だった仙石さんも、5ヶ月になる3人目のお孫さんのお話になると、すっかりおじいちゃんの顔。
とても当たり前だけれど、それぞれに暮らしがあるんだなぁ。しみじみ顔と暮らしの見える産直、だなぁと感じました。

シーズンは始まったばかり。
今年もよろしくお願いします。

なお、今回の取材の模様は、7月2日(金)の河北新報朝刊に折込まれる「週間O-le(オーレ)」に掲載されます。

2010年6月21日月曜日

みやぎ散策 ~岩出山の水まんじゅう~

宮城県の県北、大崎市岩出山(いわでやま)の名物、水まんじゅう。

水に浮かべて冷やすとおいしい!と書いてあったので、水に浮かべて冷やしてみました。氷も浮かべてみました。

トゥルン、とした滑らかな触感とひんやり感に、上品な甘さのあんが絶妙なハーモニーを描き、とってもおいしいです。

この岩出山には、伊達藩が一族や家臣を教育するために作った、「有備館」という日本最古の学問所が今でもあり、桜の時期や紅葉の時期は結構賑わうそうです。
最近では、カンガルーを見た!という目撃証言多発で「探偵ナイトスクープ!」にスクープされ話題になった地区でもあります。

男・中澤さんは岩出山を「がんで」と呼びます。何のことだか分かりませんでした。男・中澤さんは時々言葉が分からないのです。

私は水まんじゅうを初めて知りました。有備館もまだ見たことがありません。
もちろんカンガルーも。

東北6県の県名言ってみて、と他県の人に聞くと「仙台」とは言われても「宮城県」の名前が出てこない。
そんな地味なみやぎを、もう少し知ってみようかな、と水まんじゅうを味わいながら思ったのでした。

2010年6月19日土曜日

山に来れば、飢えることはないよ。


少し遅い山菜取りにいきました。

鳴子峡を抜け、中山平駅も抜け、山形県境まであと5km、という奥の奥の農家さんの山で手ほどきを受けながらの収穫でした。
なんとこの農家さん、昨年の「あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」で最優秀賞を取られた方で(そんな賞があったのか!)、さらには「米・食味分析鑑定コンクール 国際大会 部門別 金賞」も受賞!(そんな賞があったのか!)
とにかくすごい方なのです。

今日は時期が遅かったこともあり、収穫物はふき、みず、わらびの3品。ふきは日陰になっているものがおいしいそうで、透き通った茎から「みずふき」と呼ばれているそうです。写真は今日の案内人、全農みやぎの熊谷さん。ご満悦?です。

それに「山アスパラ」と呼ばれている初めて聞く山菜を2本、採って来ました。「シオデ」というそうで、結構幻っぽいようです。写真中央、わかるかな?
アスパラのように茹でて食べました。うううまままいいい! 

今ではほとんど食べないそうですが、昔は「あざみ」も食べたそうです(青森では今も食べられているそう)。交通機関も発達していない頃、野菜のない冬のために塩蔵していたそうで、食べられるものは皆食べたそうです。

昔の人は生きていくために、選り好みせず一通り食べてみて、食べ方を工夫して、食べられるもの、食べられないものを分けたのかな、と想像したりしました。

デザートは「桑の実」と「黄いちご(木いちごではない)」。
桑の実は、黒いのが完熟。黄いちごはまだ渋っ。未熟でした。
 

里から来る見知らぬ人が、勝手に山へ入って山菜を取っていくそうで、一時期山がひどく荒らされたそうです。ある時問いただすと、なんと直売所で販売していたんだそうです(!)
数年前に山を守るために、私有地で無許可で山菜を取らないよう、地域で決まりを作ったとのこと。

今回案内してくれた農家の方は、「山に来れば飢えることはないよ」と朗らかに笑って言うのでした。

山の恵み、大切にいただきたいと思いました。











2010年6月11日金曜日

5年目の矢澤農園

6月5日、産直ツアーの打ち合わせで、北海道東川の矢澤農園さんを訪問しました。

なんどもお伺いしているのですが、6月の初め、アスパラの季節に来たのは4年ぶりになります。

2006年のちょうど同じ6月5日、商務になりたての私は、1週間の「農業体験実習」をさせていただくため、矢澤農園さんに足を踏み入れたのでした。

毎日朝の6:30ころから夜6:00ころまで、いろいろな作業を体験させていただきました。

アスパラの収穫・選別、ブロッコリーの定植、レタスの定植、大根のパオパオがけ、ピュアホワイトのパオパオがけ、かぼちゃの播種、定植、しいたけの除袋作業。。。

あの1週間が私の原点だと思います。

5年目の同じ日、スタートラインにまた立ったような気がしました。



 2006年6月6日(火)

きょう大根のパオパオ張りをして、炎天の下ただひたすらもくもく、もくもくと、ふらふらしながら作業をしてみて、この半日作業が全て風で飛んでしまったら、どんなに切ないことだろうと、心の底の底から痛切に思った。と思っていたら、先週実際に強風でパオパオがほとんど飛んでしまった、ということがあったらしい。男の人総出でやり直したそうだ。一日では足りず、次の日もやり直し作業をしたという。その大変さ、今は分かる。実際にしないと分からないこと、体験が教えてくれること、それは何物にも変えられない。

 2006年6月9日(金)

この5日間の感想として、農業はとにかく単調で地道で、地味な繰り返しの作業だと実感した、それなのに、みな手を抜くことなくまじめに作業されているのが凄いと思った、と話したら矢澤さんは、「みんなには、一日目標を持って働きなさい。と言っているんです。それがお金でもいい。今日働いたらいくらになる、でもいい。また、苗を植えるのでも、他の人より早く終わらせようとか。何でもいい。それを張り合いにすれば、単調な仕事の中に、工夫がうまれるんです。」と思いを話してくれた。「自力と他力、という言葉を働く人全員に教えているんです。元は仏教の言葉なんですが、この仕事は、自力でやって下さい。そう話しているんです」という信念を教えてくれた。

2010年6月7日月曜日

スノーマーチ、美味しすぎる・・・!


じゃがいも、玉ねぎの産直産地であるJAきたみらい(北海道北見市)で、提携会議がありました。
昨年の振り返り、今年のチャレンジなど多くの意見交換ができ、とても有意義な会議になりました。

「スノーマーチ」は、その意見交換の中で出された、期待の新品種です。ちなみにじゃがいもの名前です。
この「スノーマーチ」は、産直じゃがいもの生産地である訓子府(くんねっぷ)町で生まれた、新しい品種。今年の1月、共同購入でも数が少ないため2回だけご案内したのですが、この品種にはちょっとした裏話があるのでした。特徴としては、芽が浅いため皮がむきやすく、味も男爵に似ていて美味しいのですが、似ているだけに、ちょっと地味。けっこう地味。でも、このお芋、地味のままでは終わらないのでした。

去年のことです。
訓子府支所の小野さんが、前の年収穫した自分のスノーマーチを農協の貯蔵庫に置いておき、すっかり(忘れて?)1年たった去年の9月、食べてみると・・・うまい!あまい!みんなびっくりしました。
じゃがいもは通常長期保存をすると甘くなるのですが、スノーマーチはその変化が劇的なこと、さらには品質が落ちにくいという特徴がありました。

そして・・・今回の会議のあとの懇親会で、そのスノーマーチが出てきたのです。


一同どよめきました。
芋がこんなにおいしくなるとは・・・!!


しっとり滑らかで、芋の味がしっかりしつつ甘い、甘い。まるで、甘さ控えめなさつまいものようでした。

スノーマーチを広めよう、まずは地元から!
と、去年から今年にかけ生産者のみなさんが、訓子府町のすべての家を訪問(!)し、スノーマーチのサンプルを配って歩いたそうです。

収穫してから、ゆっくり熟成して食べるとおどろくほど美味しくなる、スノーマーチ。
穫りたてだけが、旬じゃない。

来年が、今から楽しみです。