2010年9月24日金曜日

その芋の名は、「つるり」。

「芋煮会」とは、東北地方の秋の風物詩。
川原などで、みんなで鍋、釜、食材、薪をもって、「芋煮」を作って食べること。
芋煮は山形の「牛肉に醤油」や、宮城の「豚肉に味噌」などが主流です。そして、主役になる芋はもちろん「里芋」。

この時期になるとスーパーでは大鍋を無料で貸出してくれます。
「芋煮セット」として、下ごしらえ済みの里芋、蒟蒻、人参、ささがきごぼう、ねぎ、肉などがセットになった商品も販売されます。
会場になる河川敷近くのコンビニでは、もちろん薪も売っています。
全く当たり前だと思っていたのですが、他の地域ではこの時期コンビニで薪は売らないのですね。芋煮会が東北だけの行事だということは、大人になって初めて知りました。

その主役をもっと知るために、本日、山形の寒河江に行ってきました。
共立社の奥山商務に案内してもらいました。
不祝儀の取り仕切りが見事なことと、そこはかとなく漂う雰囲気から、サンネットでは誰からともなく「奥山和尚」と呼ばれています。似合う言葉は「輪廻」「涅槃」「極楽浄土」です。

通常里芋は、種芋を土に植え育てるもの。ところが寒河江にある「JAさがえ西村山」では、特殊な方法で苗を作り、栽培をしているのです。その名も「成長点培養」。里芋の成長点を無菌状態で培養し株を増やし、病気に強い苗を作る。一つの良い芋を培養するので、分けられた株は、実はみな同じ遺伝子。人に例えれば、どの株も「奥山和尚」「奥山和尚」「奥山和尚」「奥山和尚」「奥山和尚」・・・という感じ。
 
(農協さんに了解をいただき撮影させて頂きました)

これら無菌培養された株を農家が畑で大切に育てるというわけです。
こんなに手が込んでいる里芋、それが、このJAさがえ西村山でだけ作られている、「つるり里芋」です。
その名のとおり、「つるり」と皮がむけやすいから「つるり里芋」。分かりやすさが一番です。
剥けやすいだけではなく、食感も滑らかで、火のとおりも早い、まんずんめぇ芋だじゅ。(共立社清野さん談)

今回は生育調査に同行させてもらいました。
丈の長さ、葉の大きさ、枚数などを数え、生育を見ます。その後、掘り取りをして芋の状態を見ました。今年のめちゃくちゃな天気のなか、立派に育った芋を誇らしげに抱える農協の丹野さん。おおっ。

十五夜お月見にお供えする団子は、もとは里芋だったそうです。
山で採れる「山芋」に対し、里で人がつくるから「里芋」。

気温もぐっと下がって、ようやく秋本番。
東北の人にとって、とても身近で、とても大切な食材です。


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