今回の一番の目的地、川南町。
さららピーマンのハウスに入ったら、一気にカメラのレンズが曇りました。
ハウスの中はかなり暖かい。
それもそのはず、ピーマンは17,8℃以下にはしてはいけないそうです。
ここ川南町でも氷点下になることはあるそうで、そんな時も17,8℃を保つのは相当大変です。
同じピーマンの花でも、いろいろあります。
違い分かりますか。
そうです。花びらの数が違うのです。
そのほかにも色々見どころを教えてもらいました。
雄しべの感じとか。
それでいろんなことが分かるのです。
2つのピーマンを割ってみました。
種の付き方が違います。
ピーマンの形も違いました。
これも花の雄しべと雌しべのいろいろがこんな違いを生じさせる理由です。
この葉のなり方、葉の色でもいろんなことが分かるのです。
それも、葉の色も、あの葉とあの葉の色はこうだけど、他の葉の色はああだね、とか。
それで、なんと根の状態まで推測できるのだそうです。
根の先で作られるホルモン(サイトカイニン)は、新芽を出せ!って葉の先に指示を出す。
葉の一番先で作られるホルモン(オーキシン)は、根を伸ばせ!って根の先に指示を出す。
だから、葉の状態を見ることで、土を掘らなくても根の状態がわかるんです。
一方こちらのハウスは、失敗してしまったのだそうです。
病気が入ってしまいました。
その理由も聞きました。
人と同じでした。
疲れているときは風をひくでしょう?それと同じ。
病原菌というのはどこにだっていて、樹が弱まっていたり、肥料が足りなかったり、たまたま日照が少なかったり、いろんな偶然がからまって、病気になってしまうんです。
ピーマンが沢山なりすぎてしまってもダメ。
そんな時は、まだ小さいサイズでも穫ってしまうこともあります。
実りの波は、振り子と同じ。
なりすぎてもダメ。なり過ぎたらいずれパタッとなりが止んでしまう。
いろんなアクシデントに耐えられるように、いつも樹を元気でいさせてあげることが、最終的にはたくさんの収穫につながるんです。そのためには小さいうちに穫ることも必要な時があるんです。
このピーマンはLサイズが一番美味しい。
なぜなら、Lサイズの果肉はとても厚く、食べて美味しいから。
上がLサイズ。
下がMサイズ。
果肉の厚さは歴然です。
みんなは売りやすいMサイズ(小玉)を欲しがるけれど、本当に美味しいのはLサイズなんだよ。
これも伝えたいよなぁ。
みんな口をそろえて言っていました。
確かに、Lサイズは「食べてる!」って感じがします。
今までたくさんピーマンを食べてきましたが、サイズとか果肉の厚さとか、気にしたことなかったなぁ。
たぶんほとんどの人がそうでしょう。
でも、食べる人はそれでいいのです。
ただし、その後ろ側には、とことん極めて極めて、そのピーマンづくりに人生をかけている人がいるのです。
なんでもないものでも、実はすごいもの。
例えばそれは、一見したら何の変哲もないピーマンかもしれない。
でも違うんです。
冷めて見ることも時には大切ですが、やっぱり僕は熱くありたいです。
バランス感覚は大事ですが、気持ちの底ではずっと「商品バカ」でありたいです。
その気持が消えたら、この仕事なんかするべきじゃないと、僕は強く思います。
さらら。
ピーマンの品種です。
苦くない。
でもおいしい。
部会長の網代宗章さん。
深い知識と経験から、僕の質問に全て答えてくれました。
僕の先生です。
副部会長の澤田招祝(まさのり)さん。
吉玉建一さん、アヤ子さんご夫妻。
ここ川南では、10人の生産者が、味にこだわって、色にこだわって、安全性にこだわって、美味しい美味しいピーマンを作っています。
部会長の網代さんは言います。
「作物は作る人の足音を聞いて育つとよね」
畑のどれだけ足を運び、樹を葉を葉の色を花を新芽を節間を、全部をどれだけ見るか。
そういうことだそうです。
毎朝一番初めにハウスに入った印象で、だいたいその日の状態が分かるのだそうです。
結局は価格かもしれません。
でも、本当に違いがあるのなら、分かってもらえるように、地道に時間をかけて、すぐ近くの人の知恵や工夫をふんだんにもらって、伝えていくべきだと僕は思います。
去年からそうやって、いくつもじっくりと向き合ってきました。
たとえば愛別の舞茸。例えば土佐鷹なす。例えば高リコピントマト。例えば黄金生姜。例えば本田さんのにんじん。例えばれんこん。
そしてさらら。
僕には突飛なことは出来ません。
だから、こんな調子で、僕らしく地味にコツコツとやっていこうと思うのです。
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