2014年3月30日日曜日

il mio campo ~作るを伝えるみんなの食堂~


僕がはじめて参加した野菜ソムリエのコミュニティの総会でたまたまお隣に座った縁で、今までいろいろとお世話になってきた方が、つい先日ご結婚され、イタリア料理屋さんをオープンされました。

今日は有志でそのお店へ行きました。

お店の名前は、il mio campo(イル ミオ カンポ)。

イタリア語で「私の大きな畑」、という意味だそうです。

お店の入り口には本日のスープとドルチェのメニューがありました。

テーブルの上には、
細やかな心遣いが嬉しいです。

今日のメニュー。

お人柄を知っていることもあるでしょうが、手書きはその人がそのまま出るものですね。

料理そのもの以外のひとつひとつが、全部につながっているような気がします。

今回のメニューは全てお任せだったのですが、アレルギーはないですか、苦手なものはないですか、と微に入り細に入り、気配りがあたたかい。

前菜。
大豆のパテをのせたブリオッシュ(手前)、とてもおいしい。
大豆と言われなければ分からない。

あとは、さつまいものなんとかと、菜の花を炒め倒した(!)ものと、さばのカルピオーネ?と。。。とにかく全部うまい。

新玉ねぎのドレッシングがかけられたサラダ。


これこそ、作るを伝える、なのでしょう。

店主の島津さんが直接生産者と交流し、野菜を仕入れているのだそうです。

ただ美味しいものを提供するのではなく、伝えることがこの店のコンセプト。

春キャベツのスープ。
小さなカップに、春満載です。

ボンゴレ・ビアンコ。
菜花のほろ苦い感じがいい。

ミッレリーゲ、というそうです。
パスタの一種で、マカロニの大きいのって感じです。
漢方牛というちょっと特別な牛肉を贅沢に使った、贅沢な一品でした。

奥様の有紀さん。
いつも笑顔が素敵です。

管理栄養士さんで、このお店を開く前は病院で糖尿病患者さんのためにメニューを考えたり食事指導をしたりしていた、その道のプロです。
なんと、一日の塩分摂取量など専門的な相談にものれてしまうのだから、すごいのです。

そして、野菜ソムリエです。
コミュニティやいろんなイベントではいつもお世話になっていました(これからもよろしくお願いします!!)

いわい鶏のロースト。
皮のパリパリが極上です。玉ねぎのソースと、甘々なじゃがいもが添えられていました。

小休憩?のビネガードリンク。

いちごと、なんとはっさく。
氷砂糖とリンゴ酢で漬けたものだそうです。

僕はもちろんはっさくをチョイス。


これ、びっくりするほどおいしい。

はっさくのチラ苦くも爽やかな酸味が、リンゴ酢の酸味と最高の相性でした。

夏にソーダ割りなんかもよさそうです。

ご主人は厨房で次の品を準備中。

次はドルチェのようです。

ドルチェが来るまで、店内を物色。

手打ちパスタがありました。

ランチではこの手打ちパスタを使っているそうです。

緑色のは、寒じめほうれん草のパンナコッタ。

ほうれん草の風味はあるのに食べやすい。

その塩梅が難しいのだそうです。
ほうれん草の味が全くしなかったらほうれん草を使っている意味もないし、クセが強すぎても食べにくい。

これは本当においしかった。

上に載っているのは人参のジェラート。
パラっと振られた黒胡椒が意外にも合う。

島津さんご夫妻。

ご主人が言っていました。

もう少し若い頃だったら、自己満足のためだけの店を開いていたかもしれません。

でも、あんなふうにグラグラ揺れたり、いろいろな経験をしてから、自己満足ではなく、誰かのためになること、生産者と消費者をつなぐこと、生産者の思いを伝えることのお手伝い、そんなことをしたいと思うようになりました。

このお店は、かしこまったレストランというよりは、みんなでそんな作ることをワイワイしながら伝えられるような、そんなお店にしたいと思います。

だから、レストランではなく、食堂なんです。

生産者達は消費者の反応を知りたい。

野菜を作るのはプロでも、伝えるのは得意じゃない。

この店で、みんながつながることが出来たらいいなと思っています。


今日はとってもごちそうさまでした。

料理もお店のお話も、お二人の馴れ初めも。

またよろしくお願いします。

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il mio campo

宮城県黒川郡富谷町成田4-19-3 アスール・コート101
TEL&FAX:022-725-2465





雨の麗し坂


朝6:00の空は、今にも泣きそうでしたが、なんとかこらえている感じでした。

でも、15分くらいしたらとうとう泣き出してしまいました。

しだいに本泣きになってきました。

風邪をひいてもしょうがないので、途中で切り上げて、普段は歩きで上っている上り坂をのたのたと走りながら上りました(本人は全速力のつもり)。

この坂は、走り始めた頃にバス停に向かう出勤途中の綺麗な人と遭遇した坂です。

あれ以来、出会う事のないようにと、1時間早く家を出ています。

なにせ「のたのた」ですから。

今日なんかはのたのたでびちゃびちゃですから。

昨日まで仙台は快晴だったそうです。
なんと22℃まで上がったのだとか。

ところが今日は大雨。

まったくもう向こうから雨を連れてきて(ため息)、ととうとう家族にまで言われてしまいました。

8歳児にまで。。

そういえば公園の桜はまだまだかたいつぼみのままでした。

同じ日本でも全然季節が違います。

今日ものたのたと一日が始まりました。







2014年3月29日土曜日

新玉ねぎの後ろ側 ~佐賀~

今日は佐賀白石地区。

5月以降の新玉ねぎでお世話になります。

でも、なんともう、少しですが出荷が始まっていました。
佐賀でこの時期の出荷はとても早いのです。

あいにくのけっこう本降りな雨で、畑で写真を撮ろうと思ったのですが、半ば諦めていました。

けれども、今日初めてお会いした生産者を前にして、これは撮らねばならんと思いました。

一村隆さん。

たぶんこのグループでは最年少だそうです。

男前です。

まるで高校球児のようでした。


よく聞かれることで、「産地ではどんなふうにして食べているのですか?」というのあります。

だから一村さんに聞いてみました。

一村さんはとても困ってしまいました。

スライスしてそのままかなぁ。

あとは?

うーん。

あ、味噌汁には毎朝入りますね。

正直毎日だと飽きますか?

いや、味噌汁は全然OKです。おいしいですね。

新玉ねぎって水にさらしますか?

さらしますね。
でも、今のこの早い時期だとあんまり辛くないから、さっと通す程度ですね。
もっとあとだと品種も極早生から早生、中生に変わっていくのでけっこうさらしますね。

少しはにかみながら、まっすぐ誠実に答えてくれました。


食べる人にとって、産地はどれくらい気になるものでしょう。

たぶんですが、たぶん、食べるときには多くの人が気にしていないと思います。

もしかしたら北海道の玉ねぎと、新玉ねぎですら、「玉ねぎ」とひとくくりにしている人もいるでしょう。

でもきっと、それが普通の感覚なのだと思います。


だからって、僕らまで「普通はそうだよ」と開き直って(冷めて、諦めて)はだめなのです。

8割の人が何の気にも留めていなくても、僕らはこだわり続けていたいのです。

それが僕らの「責任」なのだと思います。

何も考えなくても安心して美味しく食べられる事こそ、幸せなのです。


3、4、5月の3ヶ月で長崎から佐賀に産地が移り、品種も極早生、早生、中生、晩生と変わっていきます。

玉ねぎの性質も違えば、生産者も違い、その思いもいろいろです。

雨の中だったのですが、雨脚が少しだけ弱くなったので、その隙に玉ねぎ畑でもう一枚、ハニカミをパチリといただきました。

目の前の1個の玉ねぎにあるそれぞれの背景を、関わる僕らは、いつも忘れないでいたいと思うのです。







桜雨。

AM5:40。

佐賀城址を囲むように立ち並ぶ満開の桜並木の下をくぐり、朝の佐賀のまちをぐるっと散策してきました。

朝の佐賀の町はとてもいい。

まず車がほとんど走っていない。

さらには信号も少ないので足を止めないですむ。

さらには何処まで行ってもまっ平ら。起伏がない。

桜が多い。

去年も同じ道を歩きましたが、その時にはその良さに気が付きませんでした。

そういえば去年は梅の花の時期でした。


桜の花は少し薄曇りのほうが綺麗に撮れるのだそう。

部屋に戻りカメラを持って桜の花を撮りにもう一度出ようと思ったら。

雨。

昨日の島原はあんなに素晴らしい天気だったのに。

しょうがないので窓からパチリ。

佐賀では1週間後に桜マラソンが開催されるそうです。

雨で満開の桜が散らないよう、陰ながら、少し責任も感じながら祈ったのでした。






2014年3月28日金曜日

島原は夏でした。 ~新玉ねぎと新じゃがいも~

島原半島の先っぽ、口之津。

3~4月の新玉ねぎ、4月後半からの新じゃがいもでお世話になっている産地です。

とにかく、とにかく暑かった。

25℃ありました。

でも風は気持ちいい。

新玉ねぎは収穫まっさかりでした。

ここは高台のため、5分先の低いところよりも2週間も遅く収穫時期がやってきます。
だから、低いところの出荷と重ならず、ちょうどリレーになるのです。

後ろは海。
たぶん島原湾です。

一つ一つ、丁寧に葉と根を切り落として出荷のコンテナに入れていきます。

北海道の玉ねぎと違い、すべてひたすら手作業です。

ずらっと新玉ねぎです。

生産者の菅さん。
成育も作業も順調とのことで安心しました。


お人柄が溢れています。

こちらでは出荷を早くするために極早生の品種を植えています。さらにはマルチシート(畑を覆うビニールの資材)を敷き出来るだけ早い時期の要望に応えてくれています。

マルチシートを敷くので、後から追加での肥料(追肥)が出来ません。

堆肥がとても大切なんだよ、とお話してくれました。

かたわらでは、もくもくと収穫作業が続いていました。


次におじゃましたのは、4月後半からお世話になる新じゃがいも(ニシユタカ)の生産者、飯田さん。
すっかりお馴染みの笑顔です。

去年、この笑顔の効果は絶大でした。

この笑顔で、注文が増えてしまうのです。

同性としてはとてもとても切ないのですが、しょうがないことなのです。

千葉にお住まいの飯田さんのお知り合いの方が、この僕の日記に行き当たったらしく、ブログに出てたよって言われたそうです。

去年訪問した時の日記です。

すみません今回もご登場です。

見渡すかぎり、新じゃがいもの段々畑。

今年は気温も極端に下がらず、霜の被害もほとんどないそうです。


あとひと月、楽しみに待っています。

よろしくお願いします。





夜の続き ~中洲、天神、AM5:00~


今日は博多駅前宿泊。

朝4:00に目がさめたので、その辺を少し走ってみました。

早朝の中洲は、まだまだ夜の喧騒の名残がありました。

でも、屋台はすっかり眠っていました。

桜が満開でした。

頭上にはさそり座のアンタレスが赤く光っていました。

天神まで行くと、24時間スーパーがあったので、中を見てみました。

生のつわぶきが売っていました。ふきです。

春なんですね。

景色が変わるって面白いと思いました。


ホテルに着く頃には明るくなってきました。

今日はいい天気になるようです。

これから諫早に向かいます。






2014年3月27日木曜日

100年らっきょう ~鳥取福部~

鳥取砂丘の隣、というかまさに砂丘の中にある、砂丘らっきょうの畑です。

大阪からここへ来るまで、中国山地を超えるまでは雨でしたが、鳥取県に入ってからは晴れ間が見え、畑についた時はごらんのとおり素晴らしい天気でした。

今年は雪が少なく、ほとんど積もらなかったため、なんと病気も増えたそうです。

雪がないため、霜にあたって病気になることが多かったそうです。
雪って大切なんです。

今は葉っぱの数も、分球(らきょう自体が土の中で分かれること)も順調とのことで安心しました。

今はもう少し雨が欲しいそうで、お任せ下さいと内心思いましたが調子に乗りすぎだなと自分をいさめました。

見渡す限り、らっきょう畑。

この地域全体が、最高級の砂地地帯。
鳥取砂丘と同じ超きめ細かい砂質です。

成長途中のらっきょうを引っこ抜いてくれました。

いい感じです。
今3玉でしたが、4玉に分かれかけていました。

去年は大成功の年でした。
今年は6県全体での取り組みになります。

JA鳥取いなばの今崎さんは、販売先が見えて、担当者が見えるとやっぱり顔が浮かぶと言っていました。

以前はいろんなことがあったそうで、自分たちが思っているところ以外にも流れていっていて、ちょっと困ったことがあったそうです。

今回も来てよかったと思いました。


JA鳥取いなばでは、出荷用にらっきょうを作り始めて、今年で100周年。

僕らは99周年からお世話になったので何だか申し訳ないのですが、でも最高のタイミングと都合よく解釈することにしました。

100年ってすごいな。


去年はじめてつくったらっきょう、まだ我が家で食べています。

1年食べられるらっきょうを、今年もよろしくお願いします。






2014年3月26日水曜日

たどり着いたらいつも雨降り


大阪に着いたら雨でした。

これは本物だなと、何だか自信がついてきます。

でも明日は晴れて欲しいです。

明日は鳥取です。





2014年3月24日月曜日

まだ5000m


まだ5000m。

それでも、昨日より少しは楽になってる。

目標の時まで、あと2ヶ月半しかないんだなぁ。

ほどほど頑張ります。

桜はまだまだ固いつぼみです。

朝から、かなりいい天気です。







2014年3月23日日曜日

むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく


むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、

おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、

そしてゆかいなことはあくまでゆかいに。


作家の井上ひさしさんが生前繰り返し言っていた言葉です。

大好きな言葉です。


そういえば、宮崎のさららピーマン生産者の網代さんの話はまさにそうだなぁ。

紀ノ川の井上さんの話も、そうだなぁ。

僕のまわりには、そんな人がいっぱいいます。


僕も、いつもそう意識していたいと思います。

そして、自分も、いつかそうなりたいと思います。






2014年3月22日土曜日

食べればわかるよ。


昨日は紀ノ川農協の6月から出る玉ねぎを見ました。

今日は、もう一つ別の産地へ、5月から始まる新玉ねぎの畑を見に行きました。

出荷時期が違うので、品種も違います。

葉の伸びも違います。


ここの新玉ねぎ、甘くて美味しいんです。

どうしてでしょう、と聞いたら、その理由はいたってシンプルなものでした。

シンプル過ぎてシンプル過ぎて、紙面を作る僕らとしては困ってしまうほどシンプルでした。

さらに追い打ちをかけるように、その方は最後に一言、食べればわかるよ、と付け加えるのでした。

いやーますます困った。

いくらなんでも「食べれば分かります」って書くのは、ちょっとチャレンジだよなぁ。


でも。

本質は、きっとそういうものなのでしょう。

いろいろ理由があったほうが説得力は増しますが、なんといっても素材そのものの商品力がつまるところすべてなのでしょう。

美辞麗句を並べたり、広告代理店的なそれっぽい演出をしたところで、それらはものを超えることは出来ないのでしょうから。

それが過ぎれば、問題だし。


ちょっといろいろ考えてみようと思います。






2014年3月21日金曜日

有機玉ねぎはじめました ~紀ノ川農協~



紀ノ川農協で有機栽培玉ねぎを作り始めて今年で3年目です。

和歌山県の有機農業を推進するプロジェクトの一環で、有機栽培で玉ねぎを作ることになったのだそうです。

ついこの前、2月24日に井上さんと山本さんが仙台に来てくれた時に、井上さんから「実は有機栽培の玉ねぎを作っていて。。。」というお話が出たところから始まった、今回の訪問。

さっそくもう今年6月からお目見えします。

去年は、せっかく有機栽培で作っていたのに、売り切れなかった相当量の有機玉ねぎを慣行品(通常栽培)として販売せざるを得なかったそうです。

こちらでもその時期産直品が途切れる時期なので、願ったり叶ったりでした。

特別栽培の南高梅と、特別栽培の平たねなし柿も作っている、西野さん。

随分前から畑では会っていましたが、じっくりお話したのは今日が初めてでした。


こう見えて、相当熱い。

今よりももっと若かった頃はかなりとんがっていたそうで、そのトンガリが今の特栽の柿の基礎を築いたと、今日知りました。

言わずと知れた井上さん。

有機のキウイフルーツでいつもお世話になっています。
それだけじゃなく、仙台にも来てくれるし、和歌山に行けば迎えてくれるし。

俳優みたいです。

でも、相当お茶目です。

照れくさそうにかぶっていた帽子を取る井上さん。

大丈夫大丈夫、大丈夫ですよ(何が)。

紀ノ川農協の宇田組合長。

なんと。有機栽培玉ねぎの生産者でもあるのでした。

西野さんに負けず劣らず、熱い熱い、熱過ぎです。

今日はすっかり、組合長としてではなく、玉ねぎ生産者としてお話させていただきました。
東北への思いも強く、今度仙台に来てくれるという話で花が咲きました。

宇田組合長から聞いた話です。

実は和歌山も多分にもれず、耕作放棄地が増えています。
和歌山県の耕作面積の12%が耕作放棄地なのだそうです。

この有機栽培玉ねぎは、その耕作放棄地を起こして作っているところもあります。


この畑がまさにそう。
もとは耕作放棄地でした。

有機栽培をすると、多くの場合は畑が接する他の農家さんからあまりいい顔をされないそうです。

通常に栽培している人が、農薬が風で飛んだなどいろんな理由で、有機栽培をしている人へ気を使わなければいけないからです。



ところがここでは、大変感謝されたそうで、すぐに地区長さんが飛んできたんだよ、と宇田組合長がお話されていました。
なぜなら、荒れていた耕作放棄地がなくなったからです。

耕作放棄地の他への悪影響はそれだけ大きいのです。

3年以上耕作放棄された畑であれば、1年間有機的管理を行えばそれで有機の圃場に転換できるのだそうです。初めて知りました。

和歌山では、玉ねぎの裏作に水稲(米)を作っているので、裏作の米も有機栽培にしなければいけません。

みなさんはそれにも取り組んでいます。

様々な工夫、研究を重ねて、取り組みが始まった有機栽培玉ねぎです。


耕作放棄地だった畑で、みなさんの玉ねぎは、しっかりと根を張っていました。

取り組みの根張りそのものです。


みなさん、よろしくお願い致します。