2年ぶりです。
本田さんはにんじん以外の野菜を作っていません。
本田さんのにんじんはとてもとても甘い。
それは、どの品種もです。
一般に言われる「形がよく収穫量が安定しているけれどあまりおいしくない」と言われている品種でも、驚くほど甘くなります。
その時期、その時期、その品種、その品種にあった作り方をするからです。
それを本田さんは「自分のスパイス」と表現していました。
特別なものを使う、という意味ではありません。
すぐ隣は別の人の畑なのですが、目で見て違いが分かります。
特に今年は8月の天候が厳しかったので、8月に植えたにんじんで、それは顕著でした。
葉の生育や欠株状況など、ぜんぜん違うのです。
大きな選別機械のペンキ塗り一つにもそれは表れていました。
すべて自分達でペンキ塗りもしていました。
そうすると、機械を大事にするでしょ。
思いが入るんだよ。
すべてそうさ。
そういうことも若い人達に伝えたいんだよ。
このノウハウやセオリーは、この一つ一つの作業は、こんな意味を持っているんだということを、理解させることが大切だと教えてくれました。理解のスピードも深さもぜんぜん違うんだよと。
にんじんこと、種のこと、畑のこと、作業のこと、後継世代のこと。
話をたくさん聞いて、ああ、そういうことか、極めるということはこういうことなのか、と思いました。
本田さんはそういう選択だったんだな、と思いました。
いくつかの風景を思い出して少し切なくなりましたが、それもしょうがないことなのだとは分かっています。いいとか悪いとかではないのですから。
それくらい、本田さんの畑と考え方は、極めるということでいっぱいでした。
2年前に目の前で絞ってもらったジュースのあの甘さは、きっとずっと忘れられません。
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