そう、農場長の岩渕さんはお話されました。
岩手県陸前高田市にある、水耕栽培レタス農場のグランパファーム。
津波が押し寄せてまだ除塩もされていない土地の上に、その特徴的な施設は立っていました。
まわりは以前田んぼで、今となっては一面すべてが野原と化していました。
農場からすぐ近くの野球場は、改修工事を終えて引渡し予定だった日にあの津波に襲われたそうで、地盤沈下して今ではもう海になっているそこは、被害の大きさと同時に、あの日から何も変わっていないことも物語っていました。
訪問した明るいドームの中では、フリルレタスが育っていました。
岩渕さんは、水産加工会社にお勤めされていて、鮭フレークなどの水産加工品をつくっていたのだそうです。
食べた人から「おいしかったです」と手紙をもらうことがあり、その時の嬉しさが忘れられないとお話してくれました。
また、工場見学に来てくれた小学生からの手紙も嬉しかったんです。だからものづくりが好きなんですとも。
その加工場はすべて津波に流されてしまったのだそうです。
岩渕さんは一言一言確かめるように、静かに思いを続けてくれました。
被害を受けた土地に再び会社が建ち。
そこで雇用があり、ものづくりがあり、それが販売される。
そうして、地元が活性化していくと思うんです。
自分たちが作ったものが、盛岡や仙台で売られているのを見たら、とっても嬉しい。
最後に、今何を伝えたいですか?と聞いたら、少し間を置き、じっと考えて一言。
頑張っています!
それが何より、伝えたいことです、とのことでした。
ここの農場では、以前は養鶏をしていた人、全く違う業種の仕事をしていた人、働くことが初めての人など、農業をしたことのない現地の方々で日々レタスを作っています。
「がんばっぺし!(がんばろう!)」がここのみんなの合言葉だそうです。
岩渕さん、ありがとうございました。
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