「ええ、安定してますね」
次から次へと生産者が持ち込むとうもろこしの品質点検を行うのは、JA道北なよろのゴッドハンドこと、検査員の山本さん。
JAの菊地さんが言うには、山本さんの「安定してますね」、は最高の評価なのだそうです。
ここJA道北なよろでは、朝獲りのものを午前11時までに農協へ納めることと決められています。
さらには「真空予冷」で品温を急速に下げます。
どちらも徹底的に鮮度を落とさないためです。
とうもろこしは自ら発熱するので、品温管理が最重要なのです。
僕はしばらくその傍らに立ち、作業を見ていました。
生産者が予め箱に入れずに持参した2本のとうもろこしを受取り、さらにトラックに積んできた箱を無作為につかみ、さらに箱の中から2本取り出す。
2本取り出した代わりに、最初に受け取った2本を箱へ入れ、再度封かんする。
生産者がなんとも言えない(自信あり?不安?)表情で見守る中、山本さんは取り出した2本を丁寧に丁寧に検査します。
不稔状態を見る。いろんな角度から粒を見る。しなびがないかをよく見る。粒の色を見る。重さを測る。糖度を測る。品温を測る。
そして常に穏やかに生産者へ声をかけます。
粒の状態によっては、「いつまで収穫しますか?」と生産者に聞いていました。
取り遅れ気味、過熟気味の方へ、過熟になるから早く収穫してくださいねという呼び掛けです。
生産者みなさんの性格などもしっかり押さえていて、どうやら人によって声のかけ方も変わっているようです。
山本さんに過熟になりそうなとうもろこしの見方を教えてもらいました。
横から見て粒がデコボコしているものは過熟になりかけているのだそうです。
分かったような気もしますが、全く自信がありません。
無作為の2本で、山本さんの見極めで、生産者がその日持ち込んだ荷台に積んできた全てのとうもろこしの等階級が決まるのです。
等階級が決まるということはストレートに生産者の収入に関わることです。
一方では、「JA道北なよろ」のとうもろこし全体の評価を決めるということでもあります。
もしここで等階級の評価が緩かったら、出荷後に「秀品」って買いてあるけど品質よくないよって、JA道北なよろのとうもろこし全体の評価を下げてしまうことになるからです。
だから、番人なのです。
「品質」をつくるのは、人なのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿