2012年3月2日金曜日

讃岐の国から

その方は、特別な思いを抱えて仙台に来られました。

あの地震のあと、「頑張るよ」と言って頑張れなかった仙台の友人のことを思って。

頑張れなかった理由を、知りたくて、知りたくなくて。

僕は聞かれました。

「なぜ、君は頑張れたんだ?」と。

その方の友人は、家族も皆無事で、仕事もあったそうです。
なのに、なぜ。

友人がいなくなってしまった去年の6月から、ずっと、その「なぜ」がぐるぐると心の中を回っているようでした。

理由が知りたいんだ。
でも、知るのが怖いんだ。

まもなく還暦を迎ようとしているその方は、振り絞るように胸のうちを明かしてくれました。


翌日、何箇所か、被災地を案内しました。

何か納得できるような手がかりを見つけたのか、別れ際には、幾分静かで穏やかな表情をされていたのが印象的でした。


遠く離れていたって深く傷ついている。
遠く離れているからこそ、傷が深まることもある。

そう思いました。


その方から、今日素敵な贈物が届きました。


同梱されていた手紙には「またお会いできる事を信じ、楽しみにしています」とありました。

ありがとうございました。

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