葉祥明(ようしょうめい)さんの絵は、不思議なほど、温度や手触りや奥行きを感じます。
大好きな作家です。
力いっぱいたたいて目を閉じると、暖かい春の野原にいるような、菜の花の香りのする風を感じるような気分になるたいこ。
「はるかぜのたいこ」は、そんな不思議なたいこの話です。
写真や絵を頭で見ようとすると、どうしてもいろんな、大人なことを考えてしまいます。
そんな時は、暖かさは感じません。無防備な状態で見ると、素直に染みこんできて、温度や手触りを感じます。
葉祥明さんの絵は、見る人を無防備にさせるところがあるような気がします。
特に、気持ちがざわざわしている時なんかは。
淡く穏やかな色合いや、作品の多くに描かれている地平線がそうさせるのかもしれません。
でも、多分、絵の後ろにある哲学が、そう感じさせるのだと思います。
「表現のはじめに「詩」がある」。
葉祥明さんの言葉です。なるほどなぁ。
2次元の絵なのに、どこまでも続くような広がりを感じさせてくれるのは、そんなところにあるのだろうなと思います。
娘たち、2冊読んで、もう1回1冊目を読んで、ようやく寝てくれました。
安心している時の子供たちは驚くほどに無防備です。
そういう時に、感受性が育つのでしょう。
大人だってざわざわするこの頃です。
無防備でいられる時間を、できるだけたくさん作ってあげたいと思うのです。
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