1年ぶりです。
やはり少し天気は不安定のようで、時折雨がぱらつきます。
少し責任を感じてしまいます。
制限速度は一般道で時速100km。
なかなかです。
こちらでは踏切で一時停止するというルールがないらしく(ほとんど列車は走っていません)、踏切をノンストップで110kmの素晴らしいスピードで駆け抜けた時は、なんとも言えない背徳感を覚えましたね。
ホークス・ベイは、地方の名称。日本語にすると「ホークス湾」となります。
その地区の町、Napire(ネイピア)が今回の目的地です。
ここは一昨日訪れたギズボーンよりも200km南です。
日本で言えば、少し北になります。
赤丸したところがネイピア。そのちょっと右上にギズボーンがあります。
ここでは、去年もお世話になったシェーンのかぼちゃ畑があります。
見渡す限りかぼちゃかぼちゃかぼちゃ。
連れてきてもらったこの畑で、なんと22ヘクタール。
東京ドーム換算で4個ちょっとです。
東京ドームには一度も行ったことありませんがきっとすごいことなのです。
葉の丈も長く、ここでは日焼けの心配もなさそうでした。
なぜかとても親近感のわくシェーン。
なんと以前は高校の化学の先生だったそうです。
僕の超つたないデタラメ英語も、すぐに言っていることを汲み取ってくれて、さすがだなぁと感心しきりでした。
かぼちゃの事業を大きくするということで、先生3年目の時にお父さんに請われ、かぼちゃの生産者になったのでした。
相当畑をまわったあと、彼の選果場に来ました。
選果場は英語では「Packing House(パッキングハウス)」と言います。
ここはホークス・ベイの中でも特に大きく、そしてクオリティの高い出荷をしています。自分たちのグループ以外のかぼちゃも選果を請け負っているそうです。
水洗いされたかぼちゃを一つ一つ点検し、重さを量り、丁寧に木のコンテナ(ビンボックスといいます)に入れていました。
ニュージーランドは日本に比べたら大雑把です。
いや実はその表現は違います。
日本があまりに厳格(というか神経質?)なのです。
それは、今まで訪れたフィリピンや台湾やペルーやアメリカでもそう感じました。
日本がちょっと過敏なほど厳格なのだと。
ただ、ここのかぼちゃはほとんどが日本むけです。小さい玉は韓国に輸出されます。
だから、出来るだけ日本の基準に合わせて作業も組まれているのです。
それは相当すごいことなのです。
これは正品としては出荷されず、加工用のボックスへ分けられていました。
日本に戻ればそれが当たり前ですが、一度外に出てみると、それは全然当たり前なんかじゃないって分かります。
カルチャーショックです。
それは、海外のカルチャーにショックを受けるのではなく、日本の常識が世界の非常識という、日本のカルチャーにショックを受けるのです。
それは、良し悪しとは別のことです。
選果されたかぼちゃ達は、数日ここで風乾されます。
ただ置いておくのではなく。
巨大扇風機で乾かし続けます。
シェーンが呼ぶので振り向くと、少年のような笑顔で、フルパワーの扇風機をこちらに向けて来ました。
だからマトリックスのポーズで応えてあげました(ただのけぞっただけですが)。
乾燥を終えたかぼちゃはコンテナに運ばれていきます。
このリフトのオトウサンがかなりの腕前で、職人でした。
このコンテナの扉が閉まったら、あとはもう日本までこの扉は開きません。
出荷されるボックスから1個試食してみました。
ギズボーンから持ってきたオレンジ色のかぼちゃ(その名も「オレンジ」)と一緒に、これもMicrowave(電子レンジ)でチンしました。
シャレオツなことにペッパーがかかっていました。
シェーンのくりゆたかもやっぱり粉質でした。
甘みもありました。
ちなみにオレンジはもともとベチャ系なのですが、今の段階では顔をしかめるほどベチャではありませんでした。
でもやっぱりくりゆたかですね。
くりゆたかは作るのが難しく、他にいくつかあるニュージーランドのかぼちゃの中でも、要請がないと作らない品種なのだそうです。
全体の%にすると、かなり少ない。
なんと1%もありません。
でも、安定しておいしい。
かぼちゃには当たりハズレがあると言われます。
おいしくないかぼちゃにあたると、これほど悲しいことはない。
そう、おいしくない果物に当ってしまった時と同じです。
いや、調理する分、その労力をかけて美味しくないときたら、果物よりも悲しい、いや悔しいかもしれません。
だから、安定した食味がかぼちゃには求められるのです。
それも、東北の人の味覚にあった「ホクホク」で「甘み」のある、かぼちゃの味らしいかぼちゃ。
シェーンが教えてくれました。
くりゆたかはニュージーランドで作られているいくつかの品種の中でも、特に土地を選ぶのだそうです。
「Ground Selection」と、シェーンは言っていました。
ここだけの話、くりゆたかを作る畑は地代も相当高いそうです。
また、収穫する熟度の見極めも他の品種に比べ難しいそうです。
そのほかにも、いろいろあります。
何の気なしに、輸入のかぼちゃです。
でも、どれも同じじゃありません。
国産のかぼちゃのような、栽培のこだわりはなかなか出来ません。規模が違い過ぎるから。でも、そんな中でも出来るだけ、出来るだけ、日本に合うように、僕らが求めるように作られています。
そこまでする理由は何か。
それが彼らの生き残る道だからです。
誰かの思惑で相場が高騰したり暴落するような、そんな不安定なことはもう続けたくないからです。
ネイピア港です。
あのコンテナのいくつかは、シェーンのところでフォークリフト職人が積み込みをしたかぼちゃです。
ここから2週間かけていくつかの港へ寄港し、神戸へ向かいます。
いろんな人の思いを乗せて、船は港を離れます。
待っている人が多いことを僕は願っています。
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