2014年1月31日金曜日

雲上メモ

僕からしたら、普通に話をするのも緊張するような、雲の上のひとたちと時間を共にしました。


とにかく相手の話を聞くことを心がけたよ。
聞くって言っても質問する「聞く」じゃない。話を聞いて、相手を理解するんだ。

偉くなるんじゃない。人の上に立つんだ。

説得して論破しても何にもならない。もう彼は本当の気持ちをいうことはなくなるでしょう。
説得じゃない。諭すんだよ。

逃げ道は必ず相手に残すんだよ。

人と人との付き合いはずっと続いていいんだ。


もっといろいろ憶えていたいことがあったのに、今は思い出せません。

でも僕の引き出しには確実にしまわれているから、何かの拍子に思い出すでしょう。

その時は、またここにメモしよう。


外は雪、氷点下4℃位だったでしょうか。

でも、僕にとっては、あたたかく、とてもありがたい時間でした。

2014年1月29日水曜日

NZかぼちゃ日記⑬ Up to You!

オークランドの朝。
6時20分。
スカイタワーが見えます。

昨日知り合った、以前日本に住んでいたというロシア人のタクシーの運ちゃんに運ばれ、一路オークランド空港へ。

オークランド空港は「旧正月」のムードでした。

多くの中国人、韓国人がニュージーランドと母国を行き来していることがよく分かります。



朝食がまだだったので、何かあるかと歩いてみたら、なんとここにも日本食。





ありました、ここにもTeriyaki。

”Teriyaki Salmon on Rice”

照り焼き鮭丼ですか。

いろいろ見た挙句、きつねうどんにしました。
照り焼き鮭丼は朝からはちょっとヘビーでしたね。
お姉さん、手慣れたものです。


意外や意外、美味しい。ダシがうまい。


今回の出張で、僕らの間で流行った言葉があります。

”Up to You!”

あなた次第、お任せします、という意味です。

食事のメニューやワインの種類を決めるときには重宝しましたね。

マットから”Up to You”と言われたら即”Up to You!!”返しをしていました。


でもそれだけではありません。

マットやオミー、シェーンからの”Up to You”は、かぼちゃについてもでした。

彼らは僕らの要望について、一生懸命応えてくれようとしています。

僕らも彼らの要望に応えなければなりません。

僕らの要望とは、僕らの後ろにいる、かぼちゃを食べる人たちの要望です。

決して僕個人の要望ではありません。



今回の出張については、僕の要望に最大限応えてくれました。

収穫はたくさんたくさんありました。

あとは伝えることです。

感動したこと、感心したことを、自分一人の中に抱えていてはダメです。

でも、手当たりしだいに押し付けても、それはきっと言いたいことの半分も伝わりません。


僕らがかぼちゃを食べる人から”Up to You!”と言われるほど信用されるためにも、これからが本番なのです。

この先も続けていきたいと思います。

この先も続いて欲しいと思います。


お世話になりました。

ありがとうございました。







2014年1月28日火曜日

NZかぼちゃ日記⑫ オークランド

ネイピアからオークランドへ。

こじんまりとしたネイピア空港。

ネイピアはワインの名産地だけあって、空港の床にもワインがありました。

風が冷たい。
帰りは2列2列と、往路よりも少し広めの飛行機でした。やはりオークランドに向かう人は多いのでしょう。

オークランドまでは1時間。


オークランドに着くと、なんと暖かい。いやむしろ暑い。

ようやく夏っぽくなりました。


まずは事務所で打ち合わせ。

社長のジョンは、去年の高校生達が元気にしているか気にかけてくれていました。

自分のことを振り返ってみれば、学生の頃は自分の世界が全てだったから、誰かが自分を気にかけてくれているなんてあまり意識していなかったように思います。

その頃は、いっちょまえになってきて、自分一人で育ってきたような顔をしていたんだろうなぁと思います。

大人は、子どもが思う以上に、ずっと気にかけてくれているのです。人知れず。

とてもありがたいことだなぁと思いました。


昼食は事務所近くの日本食屋に連れて行ってもらいました。
ジョンにとんこつラーメンがおすすめだよと言われたのですが、僕は初めて見る「照り焼きチキンラーメン」というものを頼んでみました。
どの辺が「照り焼き」なのかはちょっと分かりませんでしたが、初めて食べる不思議な日本食でした。

普通にとんこつラーメンの方が良かったかなぁなんて、思わないように努めました。

でも決して美味しくなかったわけではないのですよ。

その後ちょっと事務所近くを散歩してみたのですが、日本食の店が随分ありました。 
マツ寿司というようです。
Donburi、Udonなども揃っております。お弁当はLunch Boxというようです。
Bibimbap(ビビンバ)もここでは日本食のようです。

もちろんあります、Teriyaki(照り焼き)。チキン、ビーフ、サーモンの3種類。
ここNZでは、Teriyakiは人気メニューのようです。

NZでも、皆さん走っています。
僕は歩いています。 
NZでは青信号から「赤点滅」に変わり、赤信号になります。
「赤点滅」はけっこう焦ります。

スカイタワー。
南半球で最も高いタワーです。

木漏れ日だけでなんだかオシャレです。

何も考えず、一人で歩いてみました。








ホテルの部屋には、NZらしいシダ植物が置かれていました。


明日の朝は早い。

残すところ、あと数時間です。





2014年1月27日月曜日

NZかぼちゃ日記⑪ 南十字星


夏だというのに、とても寒い。

たぶん13~14℃くらいです。

夜空には天の川と、南十字星。

正確には「南十字座」という星座です。

写真の真ん中左寄り、十字架の上を左に倒した向きで輝いています。

もうきっと見ることはないと思います。

だから、ずっと見上げていました。



NZかぼちゃ日記⑩ 手のひらに太陽を


ここにしかないりんご、「Breeze」。

ブリーズと読みます。

甘酸っぱくておいしい。

桜の木のすぐ近くに植わっていました。

今後、春から日本のりんごが旬を迎える秋まで、ニュージーランドのりんごが全てのスーパーに並ぶ日が来るかもしれません。

今も少しずつ並び始めています。

いいとか悪いとかそういう次元ではなく。

これから、いろんなことが変わっていって、いつしかそれが当たり前になっていくのでしょう。

パラダイムシフト、なのでしょう。

手のひらにのせたりんごはずっしりとした重さがありました。






NZかぼちゃ日記⑨ 1年ぶりの一本桜

1年ぶりの一本桜です。


今年の10月には花を咲かせるそうです。

干ばつで大変だった去年、りんご畑のみなさんで一生懸命水やりをしてくれたそうです。

今年はこの1本の桜のために、潅水設備を敷いてくれるそうです。


この樹を植えたみんなの桜は、それぞれの心のなかで、しっかり育っているでしょうか。



NZかぼちゃ日記⑧ Ground Selection(グランド・セレクション) ~Hawke's Bay~

Hawke's Bay(ホークス・ベイ)。

1年ぶりです。

やはり少し天気は不安定のようで、時折雨がぱらつきます。
少し責任を感じてしまいます。

制限速度は一般道で時速100km。
なかなかです。

こちらでは踏切で一時停止するというルールがないらしく(ほとんど列車は走っていません)、踏切をノンストップで110kmの素晴らしいスピードで駆け抜けた時は、なんとも言えない背徳感を覚えましたね。

ホークス・ベイは、地方の名称。日本語にすると「ホークス湾」となります。
その地区の町、Napire(ネイピア)が今回の目的地です。
ここは一昨日訪れたギズボーンよりも200km南です。
日本で言えば、少し北になります。

赤丸したところがネイピア。そのちょっと右上にギズボーンがあります。

ここでは、去年もお世話になったシェーンのかぼちゃ畑があります。
見渡す限りかぼちゃかぼちゃかぼちゃ。

連れてきてもらったこの畑で、なんと22ヘクタール。
東京ドーム換算で4個ちょっとです。
東京ドームには一度も行ったことありませんがきっとすごいことなのです。

シェーンの畑はどこも手入れが行き届いており、とてもきれいでした。

葉の丈も長く、ここでは日焼けの心配もなさそうでした。

なぜかとても親近感のわくシェーン。

なんと以前は高校の化学の先生だったそうです。
僕の超つたないデタラメ英語も、すぐに言っていることを汲み取ってくれて、さすがだなぁと感心しきりでした。

かぼちゃの事業を大きくするということで、先生3年目の時にお父さんに請われ、かぼちゃの生産者になったのでした。

相当畑をまわったあと、彼の選果場に来ました。
選果場は英語では「Packing House(パッキングハウス)」と言います。
ここはホークス・ベイの中でも特に大きく、そしてクオリティの高い出荷をしています。自分たちのグループ以外のかぼちゃも選果を請け負っているそうです。

水洗いされたかぼちゃを一つ一つ点検し、重さを量り、丁寧に木のコンテナ(ビンボックスといいます)に入れていました。

ニュージーランドは日本に比べたら大雑把です。

いや実はその表現は違います。

日本があまりに厳格(というか神経質?)なのです。
それは、今まで訪れたフィリピンや台湾やペルーやアメリカでもそう感じました。

日本がちょっと過敏なほど厳格なのだと。

ただ、ここのかぼちゃはほとんどが日本むけです。小さい玉は韓国に輸出されます。
だから、出来るだけ日本の基準に合わせて作業も組まれているのです。

それは相当すごいことなのです。
これは正品としては出荷されず、加工用のボックスへ分けられていました。



日本に戻ればそれが当たり前ですが、一度外に出てみると、それは全然当たり前なんかじゃないって分かります。

カルチャーショックです。

それは、海外のカルチャーにショックを受けるのではなく、日本の常識が世界の非常識という、日本のカルチャーにショックを受けるのです。

それは、良し悪しとは別のことです。


選果されたかぼちゃ達は、数日ここで風乾されます。

ただ置いておくのではなく。

巨大扇風機で乾かし続けます。

シェーンが呼ぶので振り向くと、少年のような笑顔で、フルパワーの扇風機をこちらに向けて来ました。
だからマトリックスのポーズで応えてあげました(ただのけぞっただけですが)。

乾燥を終えたかぼちゃはコンテナに運ばれていきます。

このリフトのオトウサンがかなりの腕前で、職人でした。
このコンテナの扉が閉まったら、あとはもう日本までこの扉は開きません。

出荷されるボックスから1個試食してみました。

ギズボーンから持ってきたオレンジ色のかぼちゃ(その名も「オレンジ」)と一緒に、これもMicrowave(電子レンジ)でチンしました。

シャレオツなことにペッパーがかかっていました。

シェーンのくりゆたかもやっぱり粉質でした。
甘みもありました。
ちなみにオレンジはもともとベチャ系なのですが、今の段階では顔をしかめるほどベチャではありませんでした。
でもやっぱりくりゆたかですね。

くりゆたかは作るのが難しく、他にいくつかあるニュージーランドのかぼちゃの中でも、要請がないと作らない品種なのだそうです。

全体の%にすると、かなり少ない。
なんと1%もありません。

でも、安定しておいしい。

かぼちゃには当たりハズレがあると言われます。

おいしくないかぼちゃにあたると、これほど悲しいことはない。

そう、おいしくない果物に当ってしまった時と同じです。
いや、調理する分、その労力をかけて美味しくないときたら、果物よりも悲しい、いや悔しいかもしれません。

だから、安定した食味がかぼちゃには求められるのです。

それも、東北の人の味覚にあった「ホクホク」で「甘み」のある、かぼちゃの味らしいかぼちゃ。

シェーンが教えてくれました。

くりゆたかはニュージーランドで作られているいくつかの品種の中でも、特に土地を選ぶのだそうです。

「Ground Selection」と、シェーンは言っていました。

ここだけの話、くりゆたかを作る畑は地代も相当高いそうです。

また、収穫する熟度の見極めも他の品種に比べ難しいそうです。

そのほかにも、いろいろあります。


何の気なしに、輸入のかぼちゃです。

でも、どれも同じじゃありません。

国産のかぼちゃのような、栽培のこだわりはなかなか出来ません。規模が違い過ぎるから。でも、そんな中でも出来るだけ、出来るだけ、日本に合うように、僕らが求めるように作られています。

そこまでする理由は何か。

それが彼らの生き残る道だからです。

誰かの思惑で相場が高騰したり暴落するような、そんな不安定なことはもう続けたくないからです。

港が見える丘に連れてきてもらいました。

ネイピア港です。

あのコンテナのいくつかは、シェーンのところでフォークリフト職人が積み込みをしたかぼちゃです。

ここから2週間かけていくつかの港へ寄港し、神戸へ向かいます。

いろんな人の思いを乗せて、船は港を離れます。


待っている人が多いことを僕は願っています。





NZかぼちゃ日記⑦ ネイピアの朝、フラットホワイトの朝。

薄く開けておいたブラインドから朝陽が射しこみ、目が覚めました。

昨日は相当体力を消耗していたので、少しゆっくり起きました。
身支度を整え部屋を出ると、どうやら快晴のようです。

近くのカフェへ散歩がてら朝食に。

商店街風の一角に、そのカフェはありました。

空に雲がたなびいています。
まさに「アオテアロア」。
アオテアロアとは、マオリ語で「白く長い雲のたなびく地」という意味で、マオリ語でニュージーランドのことを指します。

朝日を受けてキラキラしています。


自転車かと思ったら、自転車の形をした何かでした。
あちらこちらにありましたが、何に使うのか分かりませんでした。犬でもつなぐのかな。

バスは日本よりちょっと長いような気がします。

今日もハロウミサラダ。
メニューにはなかったようで、マットがお店の人にリクエストしてくれたみたいでした。
心遣いが嬉しいです。


この出張で初めて知った「フラットホワイト」。
ニュージーランドでポピュラーなエスプレッソベースのコーヒーです。

ちょっと調べてみました。

エスプレッソにきめ細やかに泡立てたスチームミルクを注ぎ、エスプレッソとミルクがよく混ざり合った飲みやすいコーヒーである。しかしカフェラテやカプチーノと比べるとフォームの量が少なくエスプレッソ番のカフェオレとも言える。表面がクレマで覆われており一口目からエスプレッソが感じられるのが特徴である。

ということなのだそうです。

今回の出張で妻からスティックタイプのインスタントのフラットホワイトが欲しいとリクエストされていました。

それは何かと尋ねたら、本人もよく分かっていなくてとにかくNZでポピュラーらしいから買ってきてと言われたのでした。

行く前に調べてみたら何と!

我が家の近所にフラットホワイト専門店があるではないですか。

妻にそれを言ってみると、「あーあそこのかー」と。

すでにママ友とランチ済みだったそうでした。


そんなわけでフラットホワイトです。

とてもお腹に優しいコーヒーでした。

今日も1日が始まります。

シェーンと桜の木が待っています。