2014年5月10日土曜日

本田さんのにんじんがおいしい理由


本田さんのにんじんは、どんな品種でもおいしい。

一般に「形はいいけれど味はちょっとね」という品種でさえも、本田さんが作ると驚くほどおいしい。

その理由は、やはり土づくりだと本田さんも言うのです。

「ボカシにしろ、緑肥にしろ、すぐに結果が目に見えるものじゃない。経費もかかるし、作業の手間もかかるし、緑肥の種代だってかかるし、そのための機械も必要です。

でもその積み重ねが土をつくり、美味しい人参を作るのです。

だから私は、これらを「貯金」と思っています」


目先ではなく、息子の代へつなぐために、という話も聞かせてくれました。

息子の晃久さんは、全然違う仕事をしていたのですが、後を継ぐために戻ってきました。

「父親の代は収量もとれ品質も良かったけれど、息子の代になったらダメになった、とはよく聞く話です。

でもそれは、父親が畑のいいところを全部吸い取っているだけ。それでは後継者がかわいそうだと思うのです。だから、将来のことも考えて土を作るのです」


中川さんと晃久さん。

中川さんは、晃久さんが戻ってくる前から本田さんの農園で働いていました。
二人とも同い年ですが、にんじんづくりでは、中川さんのほうが晃久さんよりも先輩なんです。

本田さんいわく、この二人にまかせておけば大丈夫。
あとは、経験と勘だね、とのこと。
頼もしい限りです。


本田さんがにんじんを作る思いを教えてくれました。
「子どもたちが食べた時に喜ぶ顔が見たい。子どもの笑顔が見たい。子どもに安心して食べさせられるにんじんを作りたい。

やっぱりそれに尽きます。

にんじん嫌いの子どもがにんじんを食べられるようになりましたってよく言われます。それが一番嬉しいですね」


僕のもとに届いた、「本田さんのにんじん」を食べた方の喜びの声を、直接伝えました。

「とにかく甘い!まな板で人参を切っていると、三歳の息子が寄ってきて欲しがり、台所で生のまま丸かじりしています」

本田さん、相好を崩し喜んでくれました。




今日聞いた全部全部が、本田さんのにんじんがおいしい理由そのものです。

「美味しい」は、人の思いがつくるのです。

みなさん、これからも、よろしくお願いします。




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