2011年11月23日水曜日

寄り添う

小学3年の娘と風呂に入ったとき、質問ゲームなるものをしました。

代わる代わる相手に質問をするだけなのですが、基本的に、娘本人が聞いてもらいたいことをまず僕に聞き、自分の言うことを言う、というもの。素朴な質問がほとんどです。

「好きな果物は?」と僕に聞いておいて、僕が答える。
なんとなく同じ質問をしなければいけないような気がして、「じゃぁ、好きな果物は?」と僕が聞く。
「えっとねぇ・・・、マンゴー!でもさっき食べたみかんも好きだな」などと、待ってました!とばかりに彼女が答える。

これの繰り返しでした。

「好きな色は?」「嫌いな色は?」
「嫌いなことは?」
「好きなお弁当の具は?」
「嫌いな野菜は?」
「好きな県は?」

どのへんがゲームなのかは分かりませんが、面と向かって聞かれると、素朴なだけにすぐに答えが見つからないものばかり。自分に嫌いな野菜がないことに、初めて気がつきました。彼女が好きな県は千葉県だそうです。もちろんTDLがあるからです。そもそも千葉県以外はあまり知らないようです。

普段あまり一緒にいることが少ないので、おかげでいろいろ分かりました。結構意外だったりもしました。
今はまだ会話があるけれど、その内なくなっていくのでしょう。そうなる時まで、たくさん話そうと思いました。

相手のことを分かる、ということはとても難しいと思います。
会話があっても通じないこともある。
たくさんサインを送って来ていても、こちらが気づけないこともある。
気づいていても、流してしまうこともある。

それは、親子でも、兄弟でも、友人とでも、職場でも、みな同じことだと思います。
自分に近い人ほど、分かっているようで分かっているつもりになっていることが多いかもしれません。

いろんなことや人に今よりもっと寄り添っていこうと思います。

2011年11月22日火曜日

ただ、遠いだけ

北海道訓子府(くんねっぷ)から、産直の玉ねぎ、じゃがいもの生産者のみなさん9名が来仙されました。

組合員と直接触れ合うため、配送トラックに同乗しよう!という企画です。
去年からこの話はあり、今年実施の運びになりました。

ただトラックに同乗して交流をするだけではなく、今回は、津波の被害が甚大だった石巻支部のエリアを同乗し、未だ仮設住宅で暮らす組合員さんへ、励ましの言葉をかけながら自分たちが作ったじゃがいも、玉ねぎを手渡しししようということになりました。


配るじゃがいも・玉ねぎに封入してある、メッセージと、生産者みんなの気持ちのこもったリーフレットです。

【特別栽培玉ねぎ生産者 平田さん】
この度の東日本大震災で真っ先に思い浮かんだのは、我々の農産物を使用して下さっている組合員の皆様の事です。
サンネット産直に取り組んでいるからこそのつながりを深く感じた瞬間でした。我々の出来ることは、より安心・安全な玉ねぎを皆様にお届けし、復興に向けた活力の一助となる事だと思います。
「心はひとつ、つながっているよ!」

【特別栽培男しゃく生産者 斎藤さん】
被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
早いもので、今年もじゃがいもの収穫を終えることが出来ました。
「食べる」ということは、「生きる」という事だと思います。そして、おいしいものを食べるという事は日々の生活の中で楽しみの一つだと思います。
そんな食材の一つとして私たちの特別栽培男爵芋を選んで頂けると、生産者としてはこの上ない幸せです。
「皆さんに一つでも多くの笑顔が生まれますように。」


リーフレットのメッセージを読んで、ただ距離が遠いだけなんだな、って思いました。

久しぶりにみなさんとお会いできてとても嬉しかったです。
きっと組合員さんも喜んでくれると思います。

2011年11月20日日曜日

行ってらっしゃい。

理由ありりんごの目線あわせで、夕方、山形の大谷果樹組合に来ました。

18:20。

たまたま出荷の時間に重なりました。



7人の生産者が収穫、選別したものを、7人でトラックへ丁寧に丁寧に積む。


このトラックは100km離れた宮城のセンター行き。

あの日の地震であちこち大きく波打っていた高速道路のアスファルトは、以前よりは落ち着いて来ましたが、でもところどころまだガタガタです。

りんご同士が激しくぶつからないように、押されないように、配慮して詰められたりんごのコンテナ。


待っている人のところへ、さあ行ってらっしゃい。

2011年11月19日土曜日

有田



不思議。

全国的に不作のはずなのに、特にこの地域は厳しいはずなのに、です。
このなり。この味。この紅。
普通なら味のぼやける2Lサイズでも、この食味。残る余韻。

味が濃い。おいしい。

今回もまた、たくさんの秘密を教えて頂きました。
おまけに、来年のことまで、こっそり教えて頂きました。

不思議だけれど、不思議じゃない。でも不思議。

日本には、そんな産地もあるのです。

2011年11月17日木曜日

黒い柿

和歌山県紀ノ川市。

通称黒い柿、紀ノ川柿。

見た目は普通の柿ですが。

切ると。

黒い。

普通の平たねなし柿を、樹にならせたまま、ひと手間もふた手間もかけて渋抜きしたものです。
収穫も2~3週間遅らせ、より熟させてから収穫します。

樹上で完熟しているのに、なぜかこんなにパリッとしていて。
とにかく甘くて、うまい。

最高にうまい。とくかくうまい。あ゛ーうまい。う゛ーうまい。

紀ノ川で紀ノ川柿を食べる。
ホテルの窓から和歌山城が見える。


とても贅沢です。

2011年11月16日水曜日

三ケ日

静岡県三ケ日(みっかび)。

年明けに出回る「青島みかん」の一大産地です。

三ケ日インター降り口には、三ケ日のキャラクターミカちゃんがお出迎え。
街道沿いにはお店から、看板から、バス停の配色まで、町中いたるところみかん一色です。

ここ三ケ日地区は年間を通して日照量が非常に多く、またすぐそばに浜名湖があるおかげで冬でもあまり気温が下がらないため、みかん栽培にはとても適している地区。水と緑と太陽に恵まれています。


園地全体で太陽を浴びていました。日当たりの良さ、実感を伴って納得です。


青島みかんは静岡生まれの品種で、大玉で味が良い、という特徴があります。平べったい形も特徴的。早生種(11月頃から収穫、出荷されるみかん)に比べてゆっくり育つ、後から出てくる品種です。

今回訪れた園地ではけっこう色付いているものもあれば、まだこれから色付くみかんもありました。収穫は12月からで、12月中に全部収穫し、静かに貯蔵しながら3月ころまで出荷していきます。

今食べても充分おいしいのだけれど、まだもっと美味しくなります。

三ヶ日町柑橘出荷組合の竹平組合長。
「いろいろなみかんの産地を見てまわっていますが、自分たちの産地は本当に環境に恵まれていると思います。ここに生まれて、ここでみかん作りが出来て私は本当に幸せです」

高台からみかん園地を眺めながら、しみじみお話されていました。

産地のみなさん、東北のことをとても心配されていました。
今年はみかんが想像以上に不作で、静岡も大変だよ、という噂を聞いていたのですが、そこまで極端ではありませんでした。実際に来て分かることが沢山あります。
とてもいいお話が出来ました。


黄昏ぎりぎりまで、みかんたちは陽を浴びていました。

青葉通りと名残の月


仙台駅前から青葉城方面へまっすぐ伸びる青葉通り。

春には競うように茂っていた並木の青葉も、今ではすっかり役目を終えて、枯葉になって濡れた舗道を覆っていました。

西の空に沈みそこねた昨日の月が残っていました。

今朝方、我が家から遠く西方に見える七ツ森という7つの山々には、早くも雪が積もっていました。

はるか北の町ではすっかり冬景色のようです。

これから静岡へ向かいます。

2011年11月14日月曜日

引き出し

少し前に、「私の震災体験を募集します」ということで、電話インタビューを受けました。
やわらかい声のお若い(風の)女性でした。

話していくと、いろんなことを思い出していくもので、思い出しながら、忘れていたことに驚くこともしばしば。日常意識しないだけで、分別し切らないまま、引き出しにしまい込んでいるようです。

ちょっと聞いた話しによると、人の脳の記憶容量は「1.25TB(テラバイト)」もあるのだとか。DVDなら約240枚分、メモ用紙なら5億2800枚にもなるそうです。

インタビューに応えながら、「忘れる」ということは、引き出しにしまったこと自体を「忘れる」ということであって、しまったものが消えてなくなるということではないのだな、と思いました。
1回しまい込んだら、たまたま一生その引き出しを開けないこともある。そういうことなのでしょう。あんなに印象深い日々のことですら、そうなのですから。

インタビュアーさんは丁寧に僕の(思いがけない)引き出しを、いくつも開けていきました。

聞き上手は、自分でも気づかないことに気づかせてくれる、引き出しの開け上手。

最後に、「今一番ありがとうを言いたい人は誰ですか?」と聞かれました。

僕の引き出しは、とても自然に滑らかに開いたのでした。

2011年11月13日日曜日

Live!


高校の吹奏楽部時代の友人が活動しているバンドのライブに行きました。
トロンボーンやソプラノ、アルト、テナー、バリトンサックスなどホーンセクションもいっぱいいて、11人の大所帯のバンドです。僕の弟もギターで参加しています。

けっこう人気があってライブハウスはぎっしり満員でした。
身内ではありますが、かなりうまいです。
リズム感が皆無の僕も自然と体が動きます。我ながら情けないほどぎこちなくではありますが。

ステッカーやカレンダー、CDなども売っていたのでしゃあねぇなと全部買いました。
全部買った特典として、弟のサインが貰えるということだったので、特典は丁寧に遠慮しました。

プロではないのでみんなそれぞれいろいろありながら続けています。
それでも、この瞬間だけは、そんないろいろから切り離されて思い切り弾けていました。
たぶん聞きに来ていた人たちも。

まさに“Live!”って感じでした。

音楽はいいなぁ。

2011年11月12日土曜日

0.002%のりんごたち


青森県弘前市旧相馬村。

アップルロード沿いに見えるりんごの樹はほとんど収穫を終えていました。
でも僕たちが訪れたりんご畑には、まだ多くのりんごが樹にとまっていました。品種はふじ。

ここでは、この産地の全体の出荷量のわずか0.002%だけを、霜が降りるぎりぎりまで樹にならせ「完熟」のりんごを作っています。

葉が黄色く枯れているのは、その葉が養分を作るという役割を終えたということ。出来ることならすべてのりんごをそうしたいのですが、なにせここは青森。霜が降りるとここまでならせたりんごがパーです。ぎりぎりのリスクと常に隣りあわせなのです。


とてもとてもおいしかった。

ただ、今年はりんごが全国的に超大不作。
産地によっては前年の50%なんていうところもあります。
そんな状況だから今年は、普段の年なら流通しない味もしない超々小玉のりんごまで、信じられない高値で相場がついています。

去年の猛暑で翌年にりんごになる「花芽」が少なかったのが原因。
これが「花芽」。
前年の7月ころに次の年のことが大体分かるそうですが、今年は予想をはるかに下回る数量だそうです。今の状況から見ると来年は期待できるようです。

選果場では、一足先に収穫されたりんごたちが、箱詰めを待ってひしめきあっていました。じっと見ると、やっぱり何かがやがや話しているようです。


最後の収穫まであと少し。
樹にとまっている0.002%の彼らは、今からまださらに美味しくなるのです。

2011年11月9日水曜日

かぼちゃのスープがおいしい季節になりました

小学校の学芸会当日、3年生の娘がかなり高い熱を出しました。

セリフもあるので(といっても今は必ず全員セリフがあるのですが)、本人は気力で舞台に立ち、何とか役を演じ切っていました。よくやりました。

3年生の演目が終わった後、彼女はみんなより早く帰宅したのですが、さすがにぐったりでした。
それを見た下の娘が、生協さんでかぼちゃを買って、かぼちゃスープを作って元気づけてあげようと提案してきたので、のりました。

店頭にあった「北海道産 かぼちゃ 1/2カット」を買いました。
個人的には北海道のどこなのかな、なんて品種なのかなと思いましたが、残念ながら分かりませんでした。せめて品種くらいは分かると次もそれを選んで買えるのにと思いました。僕だけかも知れませんが。そんなに甘くなかったけれど、ホクホクでまあまあでした。

「切る!」「つぶす!」「牛乳入れる!」
全部やりたがる6歳児をなだめすかしながら、一緒に作りました。
「最後の仕上げにパセリを入れる!」といいながら、ナツメグを入れようとしていたので慌てて止めました。銀の袋が似ていたのでした。子どもはためらわないので危険です。間一髪でした。

出来上がったスープを飲む姉を見て、小さな妹は嬉しそうに自分のスープを飲んでいました。



あたたかいかぼちゃのスープが美味しい季節になってきました。

2011年11月2日水曜日

まぼろし、かも知れません



このりんご、ほんとうにおいしい。

果肉の半分が蜜で占めることもあります。
でも、蜜が入っている、それだけでおいしいわけじゃない。
甘みはもちろん、酸味、味の濃さ、たっぷりの果汁、香り、独特の食感。

「こうとく」といいます。

食べると幸せな気持ちになるりんごです。

売っているのを見たことは一度もありません。

まぼろし、かも知れません。

いや、どこかのお店で並んでいるのを僕が知らないだけかも知れません。

大げさかもしれないけれど、そして毎年食べているけれど、でも僕の中ではまぼろしと呼んでいます。

今年も食べられることに感謝です。



サンふじはもう少しでした。
夕陽に染まっていました。

夕方はぐぐぐっと冷えてきます。

美味しくなっていくのが分かるような、そんな冷え込みです。

日が暮れるのが早くなりました。