今日は夕方から実家近くの事務所で仕事があったので、帰りに実家へ寄ることにしました。
明るい時間にこの町を走るのは久しぶりだったのでなんとなくゆっくり車を走らせていたところ、バス通りから一本入ったところに、子供のころ母親とよく通ったパン屋さんがまだ営業しているのが見えました。懐かしくなり寄ってみました。
その当時この町には、近くにスーパーがなく、小学校に上がる前の僕は、隣町のAコープまで母親と弟の3人で散歩しながらよく買い物に出かけていました。僕たちにとって、帰りに寄るこのパン屋は胸躍るゴールデンコースでした。
6畳ほどの広さのささやかな店内はまったく昔のまま。
店のおじさんは、少しおじいさんになっていました。売っているパンも変わらず素朴な菓子パンが中心。
この地で店を構えて33年になるそうです。
僕の同級生も近所にたくさんいて、彼らの名前を挙げると、あの頃は子供たちがいっぱいだったなぁと遠い目をして振り返っていました。おじさんには、あの頃の子供たちのにぎやかな声が聞こえているようでした。その一人は僕であり弟だったのだろうなぁ。
僕らの、まだ小さかったあしあとは、きっと今でもそこここにいっぱいあって、人それぞれのタイミングで、ふとそれらが見えるときがあるのだと思います。
帰れる原点があることは、とてもとても幸せです。
たとえそこが風光明媚な場所でなく、平凡な住宅街でも。
今は、本当にそう思うのです。
今では僕らの育ったこの町は、町内の小学校の児童数のなんと3倍にものぼる、700人の敬老会メンバーがいる「超高齢街」になったんだよ、とその一員でもあるおじさんは、笑いながら教えてくれました。
変わらない「イトウベーカリー」の菓子パンのおいしさも、紛れもない僕らの原点です。
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