2012年8月31日金曜日

キーツ、ふたたび幻に。


少し前に神戸の原田さんから送ってもらっていたマンゴー。

品種名は「キーツ」。

沖縄県産です。

聞いたことはありましたが、現物は初めて見ました。

アップルマンゴーでも、ペリカンマンゴーでもない、まあほとんどお目にかかれないマンゴーです。

手垢のついた表現ではありますが、「幻のマンゴー」とも呼ばれているようです。

かなり大きい。

1個●万円という触れ込みは、小市民な僕をビビらせるには充分過ぎました。


食べ頃になるまで、常温で何日も待ちました。

まだかまだかと待ちました。

はやる気持ちをどうにか抑えて、今日か明日かと待ちました。

そして。


こんな色になりました。

切ってみました。


あ゛ーーーー。

う゛ーーーま゛ーーーい゛ーーー。

あ゛ーーーま゛ーーーい゛ーーー。


語彙力の無さに我ながら嫌気がさします。

でも本当に美味しい時は、修飾語なんか探してられません。


幻は、出会えば幻ではなくなります。

でも、食べてしまってなくなってしまったので、そして次にいつ会えるか分からないので(きっともう会えない)。

また幻になってしまいました。


原田さん、今回も勉強になりました。

ありがとうございました。

2012年8月29日水曜日

イグナル


東松島市にあるイグナルファームの生産者、佐藤さんと武田さん。

4人の若い生産者のみなさんが、新しい土地で新しいことを始めています。

東松島は津波で大きな大きな被害を受けた土地です。

みなさんも。


食べる人、作る人、地域の人、地域の農業。

関わるみんなが良くなるように。

これから、いろんなことをしてみたい。
食べてくれる人との交流もしてみたい。

そこにたくさんの「良くなる」があると思うんです。

そう、佐藤さんはお話してくれました。



いろんな思いが詰まった、中玉トマトがたくさん実っていました。


「イグナル」は、宮城の方言で「良くなる」の意味です。

2012年8月28日火曜日

目を揃えるということ


山形の大谷果樹組合。

今日はりんごの目揃え会。

生産者から今年の状況を聞きながら、傷や形、色などをみんなで見て、どこまでを出荷していいか、どこからが理由あり品か、みんなで目線を揃えて基準を決める会、それが目揃え会です。


今年も暑い日が続いていて、平年に比べて色づきは遅い。

でも、ここのところ、何が平年なのか分からない年が続いています。

今日も暑かった。

車の外気温計は39℃を示していて、まじですか、という感じです。かなりまじな暑さでした。


暑かったよねぇ、今野さん。


いつも決まった安定的な品質のものを作りたい、出したい、届けたいと、みんなが思っています。

理解してもらうことと、甘えることは全然違います。

目を揃えるということは、見た目を揃えるということ、だけではなくて。

むしろ、もっと違うところを揃えるということなのだと思います。

だから、毎年、揃えるのです。


デジタルの限界は、その都度目を揃えることでしか超えられないのかもなぁと思うのでした。

2012年8月25日土曜日

太陽の雫


福岡と熊本の県境に、自分たちの力で山を切り拓いて作ったみかんの山があります。

見事です。

すぐ頭の上に太陽があるような、そんな厳しい暑さです。

ここでは、若い生産者たちが研究を重ねて、未来につなげるみかん作りをしています。

ここにしかないみかん「太陽の雫(しずく)」があります。


新世代シトラス代表の高山さん。

こちらからの要望を受け止めてくれました。
続けていけば、課題も見つかっていきます。


それぞれの土地で、いろいろな思いを抱えて、何がより正しいかを研究して、これから先のことを考えて、ものづくりをしている人たちが全国にたくさんいます。

僕たちはそれを少しずつおすそわけしてもらっているのです。

ありがたいことです。

2012年8月24日金曜日

まるで、花のよう


長崎県佐世保。

みかんの花の季節はとうに過ぎたのに、一瞬、花が咲いているようにも見えました。

実際は、日焼け防止のためのストッキングです。


今日の気温は35℃。畑は40℃以上になっているそうです。

人手もお金もかかるので、誰もが出来るわけではない作業です。

自然に勝つとか負けるではないのでしょう。

厳しく移り変わる変化になんとか対応しようとする姿勢が見えた気がしました。


摘果作業も順調に進んでいます。


この土地では、大きさも、内容もいいかんじです。

今年のみかん、「今のところは」順調です。

でもこれからです。

2012年8月23日木曜日

宝さがし

去年の地震のあといったん別の場所に片付けておいた荷物を発掘しに行きました。


ずっと眠っていた箱を開けると、時間が止まったままの荷物たちがそのまま残っていました。

いろんなものが出るわ出るわ。

さながら宝探しのようでした。

たった1年とちょっと前のことなのに。


時間がたつと、なんでこんなもの大切にとっておいたんだろうかい?と思うものもあります。

一方で、いつも使わないものでも、もしかしたらこれからずっと使わないものでも、大切なものってあります。


ようやく、すっきりしました。



2012年8月18日土曜日

嬉しいことは


自分が楽しいことよりも、もっと楽しいことがあります。

自分が嬉しいことよりも、もっと嬉しいことがあります。

そのためなら、不思議と頑張れるような気がします。

なかなか、いいもんです。

ありがたいことです。


今年も、そろそろ閉園です。


2012年8月17日金曜日

おもちゃ箱の中へ


大きな大きな、大人の背丈の3倍はあるような扉を抜けると、そこはおもちゃ箱の中でした。

子ども達のリクエストにお応えし、決死の覚悟で、おもちゃ箱の中へ連れてきたのでした。


見上げるほど大きいぬりえは塗りかけで、もしかしたら塗りかけのまま忘れられているのかも知れません。

そんな中途半端が、我が家にもいくつもありそうです。

あんなに熱中したたくさんのマイ・ブームも、まるで真夏が翌日には冬になってしまうくらい、びっくりするほどの勢いで冷めてしまったり。

僕は興味のサイクルがのんびりな方なので、子ども達のそんな目まぐるしさも、また少し眩しいのです。


整理整頓なんてしなくていいから、今は引き出しに目一杯詰め込んでくれればと思うのでした。


2012年8月13日月曜日

先に待ってる

仕事の都合で、一足早く12日に墓参りを済ませました。

今年は先に待っていることにしました。

おかげさまで、みんな元気に暮らしています。

普段会えない人たちにこそ、おかげさま、です。


2012年8月11日土曜日

手作りの夏祭り

石巻支部の構内、普段はトラックが止まっている敷地内で、夏祭りが開催されました。

石巻支部の目の前に並ぶ開成仮設住宅の皆さん1142世帯へ案内をし、当日は1000人以上の皆さんが集まり、それはもう大賑わいでした。

僕は福島市にある「みなみ果実出荷組合」の高橋さんに提供いただいた桃700個と、白河の桃太郎トマト100パックの売り方担当。

なんと桃は最初の1時間であっという間に売り切れてしまいました。

去年の3倍の桃を仕入れたのに、全然足りませんでした。。。

「福島からはるばるよく来たねぇ。あんたに勧められたら買わなきゃねぇ」

仙台に35年暮らす僕に向かっておばあちゃんはそう言うと、桃もトマトも買ってくれました。
僕はにわかに福島県民の顔で、ひときわ大きな声で、ありがとうございます!と言いました。


今回総合司会をしていただいた、TBS(東北放送)のアナウンサー藤沢智子さん、名久井麻利さんにも、福島の桃とトマトを応援してもらいました。

宮城では知らない人のいない人気者、本間ちゃんこと本間秋彦さんにも桃とトマトをたくさん買っていただきました。
左が本間ちゃん。
右は僕の昔からの先輩、水産担当の及川さん。
本間ちゃんは牡鹿、及川さんは塩釜出身。
ふたりとも宮城の海の男達です。イカしてます。

ベガルタ仙台の平瀬アンバサダーのトークショーやベガルタ仙台チアリーダーズのダンスパフォーマンス、知る人ぞ知るコーラスグループJIVEのコンサートなど、時間はあっという間に過ぎて行きました。
僕は桃売りトマト売りでほとんど見られませんでしたが、いい雰囲気でした。


湿った風が吹いて来ました。

帰りの道すがら、覆いの向こうに積み重なったたくさんの車が見えました。がれきも見えました。

いろいろなものと隣り合わせでみんな暮らしています。

祭りの終わりを待っていたかのように、ポツポツと雨が落ちてきて、歩道を点々と濡らし始めました。

みなさんありがとうございました。

2012年8月9日木曜日

オパールと百日紅


オパール。

プルーンの品種です。

たわわに実っていました。



百日紅(さるすべり)。

約100日間ピンクの花を咲かせるから、こう書くのだそうです。


果物には果物にしかできない、花には花にしかできないことがあると僕は思います。

なくても困らない。けれど、あるととても豊かになる。


昨日今日明日と途切れなく慌ただしくつながる中で、朝のオパールと百日紅は、少しだけほっとさせてくれたのでした。

2012年8月8日水曜日

ほんのりでいい

「ほんのり」とは、ほのかに明かりが灯るようすを表します。

元々ほんのりは「火(ほ)」から出た言葉だそうです。

炎(ほのお)、火群(ほむら)、火照る(ほてる)、のように。


今年は、いえ今年も、強烈な太陽がすぐ頭上でじりじりいっています。

山形朝日町大谷でも。

いろいろな理由はあるのだそうですが、やはり灼熱は大きな原因のようで、りんご達はあちこちで「ヤケ」(日焼け)を起こしていました。


つがるです。本当に痛ましい。


焼けた部分を触ると、熱を持っていて熱い。

ずっと火照っていました。


そんな中でも、秋に向かって、ほんのり色づき始めたりんごもありました。


ほんのり、ほんのり、ゆっくり、ゆっくり。

今はまだ、ほんのりでいい。

明るい出来秋を祈っています。

2012年8月7日火曜日

僕の代わりに

娘たちが、僕の代わりに七夕祭りに行ってくれたようです(頼んだ覚えはありませんが)。


折り鶴で作られた七夕飾りがきれいだったこと。

お昼を食べようと思って並んだ店がとっても混んでいてやめたこと。

お寿司がおいしかったこと。

ゲゲゲのゲ太郎展(次女はゲ太郎だと信じて疑いません)を覗いて猫娘が怖かったこと。

水ヨーヨーをもらって嬉しかったこと。

写真が上手に撮れたこと。


どれも一大事のように、帰宅してまだ鞄も置いていない僕に息せき切って話してくれました。

僕の分まで楽しんでくれたようでよかったです。

仙台七夕は明日までですが、残念ながら僕は今年は行けなさそうです。


来年は僕も連れて行ってもらおうと思います。


2012年8月5日日曜日

髪を切りにいく


職場の先輩に教えてもらった、近所の床屋。

安くて早くて丁寧。

それにもまして、店長が(たぶん)思いつきで書く木札が味わい深いのです。


「あの日からパンチマーマ」

「我が人生にバリカンあり」

「ボーズ各種ございます」


店内外、そんな噛むほどに味が染み出るような言葉たちが、控えめに並んでいるのです。


今日は朝から法事で、礼服が暑かった。けっこう疲れました。

そのせいか、髪を切られている間何度か船を漕ぎそうになりました。


そろそろ、町中を流れる広瀬川の河川敷で、仙台七夕前夜祭の花火大会が始まります。




2012年8月4日土曜日

鶴岡探訪①砂丘メロン ~見る触る~


「ちょうど3つ不足していたので、収穫してもらえませんか」

JA鶴岡の「歴史メン(略してレキメン)」、今野さんはそう切り出したのです。

聞いてみれば、今日みやぎ、ふくしまへ出荷する「つる付き鶴姫レッドメロン4L化粧箱入り」が集荷場で3箱不足していたから、その分を今野さんが収穫するつもりだったそうなのですが、ちょうどよかった僕らに収穫させよう、と思いついてしまったのだとか。

むむむ。

むむむむむ。

むむむむむむむ。

自分が選んで収穫したものが届くのか、とちょっと怖気づきましたが、でも喜んで収穫させていただくことにしました。

畑、全面砂地です。海辺の砂浜と全く一緒。
下から砂が熱く、上からも灼熱。かなり暑い。


まずは品質のよいメロンの見分け方を、そして収穫時の注意点を教えてもらいました。

品質は、メロンのネット、そしてメロンの近くの葉が目安になるそうです。

ネットが細かいこと、ネットの盛り上がりがよいこと、メロンの花落ち部分がひび割れていること、
メロン近くの葉が充分実に栄養を送った痕跡があること、などなどなど、他色々。

こういったものは、きちんと育った証なのだそうで、ほぼ間違いなくいいメロンになっているそうです。へぇ~。

葉やつるが意外と鋭くトゲトゲしていて痛い。

ようやく一つ選びました。

また、つる付きなので、見栄えの良いつるの残し方や切り方もご教授いただきました。

谷口さんと二人で3個ずつ収穫し、その中から出荷してもらうものを選んでもらうことになりましたが、いやー、これがなかなか選べなかったな。
吟味する谷口さん。

収穫した後のお手入れ、玉みがきも教えてもらいました。
教えているのは、JA鶴岡のイケメン栗田さん。


普段はものを納めてもらう側で、収穫する瞬間のことへは思い及んでいません。

どんな暑い中で、どんな見極めをして、どんなハサミの使い方で、葉やつるのトゲトゲにさされながら、どんな風にメロンを磨き、どんな風にメロンを箱入れし運ぶのか。


何ヶ月もかかって収穫直前に台風や大雨、猛暑で全部だめになることだって、よく聞きます。

どこの産地のどんなものでも、そこにいる人の手がかかっている。

原料を入れたら出口から製品が完成して出てくる工業製品とは、全く違うのが青果物。

当たり前で頭では分かっていることでも、実際は頭だけなんだろうなぁ。

現場を歩き、体験すること、そこで感じること。そして、見たこと触ったこと感じたことを、活かすこと。

イケメン栗田さん、レキメン今野さん、ありがとうございました。

2012年8月2日木曜日

あったよ!


北海道は東川町、JAひがしかわのみなさんが、みやぎのセンターへ来てくださいました。

チラシを見て、自分たちの商品が案内されているのを見つけて喜ぶ東川町蔬菜園芸研究会の園田会長。

さらに、センター内でみなさんの産地のねぎやトマトがあるのを見ると、おーあったよ!あの人のもこの人のも!と大喜び。

なんだか、こっちまで嬉しくなりました。

JAひがしかわの農産物は、個人の顔写真が貼ってあり、誰が作ったかがバッチリ分かるのです。

するとすかさず販売部長の樽井さんが写真撮れ、写真撮れと。

写真を撮る販売課の新田さん、それを笑顔で見守る園田さん。


聞けば、最初個人の写真入りシールを貼るよ、と生産者のみなさんへ話したら、なかなかみんなの賛同を得るのが大変だったのだそうで。お金もかかるし、手間もかかるし。

でも、根気強くシールを貼り続けていたら、ある時、関東の小学生から「どうして野菜に顔のシールが貼ってあるんですか?」と夏休みの宿題で電話で質問があったそうで、産地の皆さんは大喜びだったそうです。

質問に答え、ありがとうと自慢の野菜を送ったら、今度はお礼状が届いて、さらにはそれをJAの広報に掲載、みんなの喜びはまた広がって。シール貼っててよかったね、とみんなで思ったそうです。

今回も、「あなたの作った野菜が、ちゃんとこうして届いているよ、温度管理されたセンターで大切に扱われているよ」と伝えたくて、写真を撮れ、撮れと、樽井さんは言っていたのです。

大切なのは、生産者のみなさんへどう伝えるかなんだよ、と樽井部長。

口で言うより、園田会長と僕(消費地の窓口)が軟白葱を持って写真に写り、それを見せることが、何よりの説得力だと。そしてそれが、みんなのモチベーションにつながるんだよと教えてくれました。


熱い想いがその人を動かし、まわりのみんなを動かすんだなと思いました。

その想いまで届けたいなと思います。

みなさん、遠路、ありがとうございました。