日川白鳳。
白鳳の中でも、はじめに出てくる品種です。
今年は春が遅かったので、生育がとっても遅れていると聞いていましたが、花が咲いてからの気温がぐんぐん暖かく、結局去年とほぼ同じところまで生育が追いついたのだそうです。
今見えているここから、なんと多くてもせいぜい1個しか残さないそうです。
ここ、山梨の春日居地区では、徹底的に実を選び、選りすぐりのものだけを残し、他はほとんど摘んでしまいます。「摘果」と言います。選んで選び抜いたものを、大切に育てています。
そもそも、摘果の前に、摘蕾(てきらい)を徹底するのだそうです。
摘蕾とは、蕾(つぼみ)の段階で花芽を摘んでしまうのだそうです。余計な花を咲かせないために。
でも葉になる芽(葉芽)は決して摘んではいけません。
やはり、葉が命だからです。
ちなみにこの摘蕾作業は寒さ厳しい2月ころ。
2月の厳寒期に桃畑で脚立を立てているのは、同じ地域の他地区でもあまり見られないのだそうです。
やるべき時期に、やるべきことを、きちんとやる。
そう、とてもシンプルなことです。
なんでシンプルなことって難しいんだろう。
シンプルであればあるほど、難しい。
逆に、難しく見せることほど簡単なことはないよな、なんてぼんやり考えたりしました。
徹底した摘蕾、摘果を行うから、春日居の桃は他と比べても実の付きが少なく見えます。
そして、実の付きが少なく見えるということは、一つの実に対して、葉の枚数が多い、ということでもあります。
たくさんの葉で作った養分を、徹底して選り抜かれた数少ない実にたっぷり送る。
だからいい桃が出来るのだそうです。
なるほど、やっぱり、ここでも「葉」なんだな。
弘前の中田さんのりんご畑を思い出しました。
山形の滝口さんのさくらんぼ畑を思い出しました。
それでも、収穫直前に雨に降られると、残念ながら味は落ちてしまうそうです。
品質も不安定になってしまいます。
収穫2週間前になったら、もう雨は降らないで欲しいそうです。
摘果作業の済んだ隣の木では、選ばれた桃に袋がかけられていました。
あと1ヶ月と少しで、収穫です。