ただにんじんをミキサーにかけただけなのに、こんなに甘く、雑味もないジュースになるなんて。
それが、本田さんのにんじんジュースを飲んだ素直な感想でした。
熊本のにんじんの生産者、本田さんを訪問しました。
着くなりさっそくにんじんジュースを目の前で作ってくれました。
どうしてこんなにんじんが出来るのですか?品種ですか?
いや、品種は全く普通だよ。時期にあわせていろいろ作っているけれど、日本で一番作られている品種も作っているよ。
えっ!あの品種でもこの味になるのですか?
そうだよ。
・・・どうしてあのにんじんがこんなにおいしくなるのだろう・・・。
それはね、「コップで作るか、バケツで作るか」ということだよ。
そう言って、本田さんは畑へ連れていってくれました。
そして、その秘訣をなんとも朗らかに教えてくれました。
本田さんは土を作ることを、「土にボランティア」と表現していました。
「この辺ではよくよくあることだけれど、自分の代はいいにんじんが取れるけれども、子供の代になったら全然取れない、ということがある。土にボランティアをすることは、次の世代のためなんだよ。私も子供に恨まれたくないからね」そういって、また人懐っこい顔で笑うのでした。
本田さんのすごいところは、作るにんじんが毎年安定的に出荷されていること。
おいしいにんじんは作れても、年によって出荷量が大幅に減ったり、増えたりしたのでは、そのにんじんを待っている人も困ってしまう。だから、派手な宣伝は一切していないけれど、毎年安定的な量を作っているのです。なかなか出来ないことです。特にこの異常気象の中では。
にんじんを作り始めた20年前までは全然別の仕事をしていたそうです。たくさんの試行錯誤を経て今に至るそうです。たくさん失敗したよ、とこれまた朗らかなのです。
そろそろ辞去しようと席を立つと、次のお客さんがいらっしゃいました。
何でも、雑誌の取材だそうです。
がんばっている企業の経営者を紹介する内容の取材だそうで、突然入ったそうです。
4人の取材陣の中に、ちょっとお洒落なおじさんがいました。インタビューする人のようです。
いっしょに同行いただいた方皆さんはその人を知っているようでした。
穂積隆信という俳優さんでした。
そう、まさにこの方でした。
「積木くずし」という本を書いた人だそうで、恥ずかしながら僕はそのタイトルしか知りませんでした。穂積さんのことも知りませんでした。とてもおしゃれで気さくな人でした。
人を呼ぶ本田さんのにんじん。
理由は食べれば分かります。
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