2010年12月31日金曜日

団らん

少し前に、今年最後の太陽が沈みました。

今日は一日支部応援。
亘理(わたり)という宮城県南の町へ刺身の配達です。

出張に行く、商談をする、企画を立てる、会議をする、振り返る。
すべては、組合員さんのくらしに少しでも役に立つためです。
今、12月31日の18:00です。

これから年末のごちそうを囲んで、それぞれみなさんがいろんなことを思い出したり、豊富を胸に誓ったりするのでしょう。紅白を見たりするのでしょう。

その団らんの場で、自分たちの仕事が少しでも役に立つことが出来ていたなら、これ以上うれしいことはありません。

ぐっと冷え込んできました。
そろそろ退勤の時間です。
今日はこれから奥さんと娘2人と一緒に、僕の実家へ向かいます。

ゆっくり、家族と過ごそうと思います。

1年間大変お世話になりました。
来年もよろしくお願い致します。



2010年12月29日水曜日

せりの根っこ

昭和24年から続く仙台の老舗のおでん屋「三吉」で、ほんの身内で忘年会をしました。


ここのおでんはどれも最高においしく、味噌とたまご、片栗粉を加えたさんまのすりみは絶品です。そして何より、上品で柔らかいのに味がしっかりしていて、でも限りなく優しい三吉のだし汁は、それだけでもう大満足です。
ハタハタ焼もおいしかった。

でも、ここの隠れた名品が、きりたんぽ鍋。
先代のおやじさんが秋田出身だからでしょう、食通の男・中澤さんも「ここのきりたんぽ鍋は秋田の味そのものだべさ」と唸る一品です。
特においしいのが、せりの根っこ。ズリ、ズリというなんとも言えない歯ごたえ、食感がたまりません。

宮城県は、実はせりの出荷量が日本で2番目。面積は3番目と、けっこうな産地なのです。
でも、秋田のそれとは茎の太さ、長さが全然違います。聞けば、一番違うのは、初めから根っこを重視して作られていることだそうです。宮城のせりは、ひょろっと茎を長く伸ばして育てられますが、秋田のは茎は短く、太い。そして根っこがすごい存在感。秋田のせり生産者は、あえて根っこが太く美味しくなる品種を植えているのだそう。今日のきりたんぽのせりももちろん秋田産のせり。
おなじ「せり」でも、地域によって全然違うのですね。


昔から伝わるその土地土地の食文化は、おいしいものを作ろう、と意気込んで作られたというよりは、「一時に集中して出荷される作物を飽きずに捨てずに消化するには」だとか、「豪雪地帯の命を託した保存食」などのように、「くらしの必然」から生まれるんだよ。
東北はまだまだおいしいものがある。食の宝庫だ。もっと知りたいね。
そんな話に花が咲きました。

あと3つ寝るとお正月。

いろんなことがあり、みんなそれぞれ多くの傷を負いながら、雲間になんとか陽光を探していた2010年ももうすぐ終わりです。

鍋の中でほぐれかけたきりたんぽと、静かにおいしいせりの根っこ。


とてもあたたかく、おいしい夜でした。

2010年12月22日水曜日

なつかしい味

「今回届いたみかんは大変に甘く、なつかしい味でした。涙で池が出来るほど美味しかった」

こんな声が組合員さんより寄せられました。よほどの感動だったことがびんびん伝わります。「舌の記憶」だと思います。
「なつかしい味」というと、すぐに思い浮かぶのは台湾バナナ。父が子供のころの遠足の楽しみはバナナだったと聞いたことがあります。他には、夏みかんやプリンスメロン、紅玉なんかも懐かしいようです。印度りんごというのはどんなりんごなんでしょう。まくわうりも一度食べてみたいです。長十郎なしは今でも宮城の特産です。酸味があるもの、甘すぎないもの、あっさりしているものが多いようです。台湾バナナは真逆ですが。


トマトにもなつかしい味のものがあります。
それは甘みだけではない、酸味もあって、何よりトマトの味が濃い。
共同購入でも春先、毎年たくさんの「おいしかった」の声を頂くトマトがあります。
でも、そういうトマトは得てして作るのが難しい。あまり収穫量がとれない。その上病気に弱い。こんな状況もあり、作付は年々減ってきています。でも聞くと、作っている人も新しい品種よりこのトマトが好きだと言います。

今回産地を訪問し、なかなか作るのが厳しいから、これからその品種限定での出荷は難しいかも、と言われました。けれど、組合員の声からの熱い声を伝え、毎年待っている組合員がいるんです、ということを部会長さんへ熱くお話ししました。
その甲斐あってか、出張から帰ってきた3日後、サンネットには年明けからもこの品種限定で出荷します、と産地からとても嬉しい、ありがたい連絡がありました。部会長さんが部会のみなさんへ理解をいたただいたとのことでした。

今回は部会長さんにしかお会いできなかったので、次回生産者の皆さんにお会いし、皆さんのお話をお聞きしようと思っています。
このトマトを楽しみに待っている人達へこれからも変わらず届けるためにはどうしたらいいか。本当に懐かしい幻のトマトにしてしまわないように。一緒になって考えていこうと思います。

2010年12月21日火曜日

光の並木

毎年仙台では、12月に「光のページェント」というイベントが開催されます。

今回、出張帰りにふらっと寄ってみました。たくさんの人で賑わっていました。

仙台のシンボルであるけやき並木に約60万個のLED(昔は豆電球)をつけ、冬の仙台市中心部を光で彩ります。
イベントが始まって今年で25年。ずっと市民ボランティアが主体のイベントです。今では、3週間で280万人の人がこの光の並木を見に来ます。

よく覚えていないけれど、開始当時12歳だった僕は、初めて見たとき3つ下の弟と一緒に「うわあっ」と声を上げていたと思います。それから毎年、父が運転する車で家族で見に来ていました。

高校生のころは、ページェントの並木沿いにあるコンサート会場で開催されていた「東北吹奏楽の日(クリスマスコンサート)」に出演していました。自分たちの演奏が終わり会場を出ると、目の前は光の回廊になっていました。あの時見たページェントが一番光っていたような気がします。青春の1ページです。もうそのころになると、家族では来なくなっていました。

自分に子どもが生まれてからは、だいたい毎年来ています。
彼女達は、ただ素直に驚き、喜んでくれます。それが嬉しい。
大人になると、目に映るきれいなものでも、斜めから見たり、疑ったりしてしまうもの。
今は、たくさんの「きれいだな」「すごいな」「たのしいな」「うれしいな」を集めて欲しいと思います。

光並木はいつもと同じようにただ静かに揺れるだけなのに、それを見上げる僕たちは、その年年でしみじみいろいろ思い出したり思ったりするのです。

2010年12月17日金曜日

人を呼ぶ、本田さんのにんじん

ただにんじんをミキサーにかけただけなのに、こんなに甘く、雑味もないジュースになるなんて。


それが、本田さんのにんじんジュースを飲んだ素直な感想でした。

熊本のにんじんの生産者、本田さんを訪問しました。
着くなりさっそくにんじんジュースを目の前で作ってくれました。


どうしてこんなにんじんが出来るのですか?品種ですか?
いや、品種は全く普通だよ。時期にあわせていろいろ作っているけれど、日本で一番作られている品種も作っているよ。
えっ!あの品種でもこの味になるのですか?
そうだよ。
・・・どうしてあのにんじんがこんなにおいしくなるのだろう・・・。
それはね、「コップで作るか、バケツで作るか」ということだよ。

そう言って、本田さんは畑へ連れていってくれました。
そして、その秘訣をなんとも朗らかに教えてくれました。


本田さんは土を作ることを、「土にボランティア」と表現していました。
「この辺ではよくよくあることだけれど、自分の代はいいにんじんが取れるけれども、子供の代になったら全然取れない、ということがある。土にボランティアをすることは、次の世代のためなんだよ。私も子供に恨まれたくないからね」そういって、また人懐っこい顔で笑うのでした。

本田さんのすごいところは、作るにんじんが毎年安定的に出荷されていること。
おいしいにんじんは作れても、年によって出荷量が大幅に減ったり、増えたりしたのでは、そのにんじんを待っている人も困ってしまう。だから、派手な宣伝は一切していないけれど、毎年安定的な量を作っているのです。なかなか出来ないことです。特にこの異常気象の中では。

にんじんを作り始めた20年前までは全然別の仕事をしていたそうです。たくさんの試行錯誤を経て今に至るそうです。たくさん失敗したよ、とこれまた朗らかなのです。

そろそろ辞去しようと席を立つと、次のお客さんがいらっしゃいました。
何でも、雑誌の取材だそうです。
がんばっている企業の経営者を紹介する内容の取材だそうで、突然入ったそうです。
4人の取材陣の中に、ちょっとお洒落なおじさんがいました。インタビューする人のようです。

いっしょに同行いただいた方皆さんはその人を知っているようでした。
穂積隆信という俳優さんでした。
そう、まさにこの方でした。
「積木くずし」という本を書いた人だそうで、恥ずかしながら僕はそのタイトルしか知りませんでした。穂積さんのことも知りませんでした。とてもおしゃれで気さくな人でした。

人を呼ぶ本田さんのにんじん。

理由は食べれば分かります。



2010年12月16日木曜日

むかん

博多駅で、皮をむいた冷凍みかん「むかん」を買いました。



今年の夏話題になっていたので興味がありました。今の時期はわざわざ冷凍みかんを食べなくてもいいくらいまわりにみかんがあるからか、少しだけしか並んでいませんでした。

聞くと、この「むかん」を作っている会社は、日本で最初に冷凍のたこやきをつくったところだそうで、地元のみかん「山川みかん」というみかんを広めたい、若者にもっと果物を、ということで作られたそう。
皮がゴミにならないし。名前も分かりやすい覚えやすい。


3個380円。サイズは2Sくらい。
仕事の中心が青果なので、食べてみて、なるほど加工品こそ素材が大切だな、と感じました。

夏に食べるにはいいですね。
ちょっと高い気もするけれど。

2010年12月15日水曜日

あずきミュージアム

少し前、小豆を煮たことをこの日記に書いたところ、なんと産地であるJA十勝池田町の方が見てくださっていました。

僕の日記を紹介してくださった方に、JA十勝池田町の大塚さんからうれしいご感想が届きました。

「私も、毎年小豆の受け入れが始まると、ひとすくい持ち帰り、必ず煮て食べています。それまでは、男子厨房に入らずではないですが、料理は一切しませんでした。ただ、小豆を煮る時だけは水洗いから、水漬けして煮ます。火にかけた後は、豆を踊らせて皮を破かないように注意して、弱火でことこと時間を掛け、ゆっくり煮ます。椅子を持ち込んで、鍋の中を覗き込んだり、確かに、スローフードですね。ことこと煮る時間、小豆の煮上がりの独特の臭いも、共有できたのだなと感じました」

先日帯広へ出張に行った際、行程で農協の目の前を通ることが分かり、大変唐突で不躾で恐縮なのですがぜひご挨拶だけでもさせて下さい、とお電話をしたところ、快くお会いしてくれました。

日記を見ていただき、感想を頂いただけでも、そして貴重なお時間を頂いただけでも有難いのに、なんととてもとても貴重なお土産まで頂いてしまいました。

それは、「あずきミュージアム」という本でした。

姫路にある世界に初めての小豆の博物館の本でした。


小豆の歴史、種類からゆで方、世界の小豆、栄養素いろいろ。

「古事記」に五穀豊穣のひとつとして小豆と載っていることも知りました。

「干しいも大学」に通ずる、抑えきれない、熱く静かな情熱を感じました。

一つ一つの作物には計り知れないドラマがあって、そのドラマの登場人物は変わっていくけれど、主役であるそれら作物は受け継がれている。
そんなことを思いました。

目の前の小豆はやさしく、おいしい。
でも、今は昨日よりもっとおいしく感じます。
感情移入。
きっと、なんでもそういうものですよね。

大塚さん、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。

2010年12月14日火曜日

宮城県はどこにある?

宮城県はみんなが思うほど雪は降らないし、夏も暑くない。
とっても過ごしやすくて、米は抜群においしい。海のものも豊富です。
フィギュアスケート発祥の地でもあります。

ここです。
僕はふるさと宮城県が大好きです。

でも、全国的にはとっても地味なのです。
それは、全国各地へ出張へ行くと、痛いほど分かります。

先日訪問した帯広でも、認知の低さを痛感した悲しい出来事がありました。


「宮城県って、あの有名な知事がいるところですよね」
それはたぶん宮崎県です。
宮城の村井知事は、そこまで知られていないと思います。
笑顔のかわいい村井知事。大阪出身です。


でもこれくらいはしょうがない。言われることもあります。そんなに悲しくない。
けれど、もう一人の方(けっこう年配のおじさんでした)に言われた一言は衝撃でした。


「宮城県って、仙台の上ですよね」


・・・・・。
久しぶりに絶句しました。
なんと返事したか覚えていません。


帯広の大きな大きな黄昏の中、僕は、一人ぼっちになった気がしました。


やっと伝わったね。

美幌の産直生産者、一戸さんへ、応援ボックスで寄せられた声を届けに行きました。




たくさん寄せられた声に目をとおし、一戸さんがしみじみ一言。



「やっと伝わったね」



でも、まだまだ。

これからです。

2010年12月7日火曜日

おじさんのやさいですうぷのみました

おじさんへ
おじさんこ年は、たいへんでしたね。
うちでけさのあさごはんのスープのじゃがいもはおじさんのはたけのなんだよ!
きおんにまけないでね!
ひなこより

おじさんへ
おじさんのやさいですうぷのみましたありがとうございました



美幌の一戸さんへの、組合員のお子さんからの直筆メッセージが届きました。
姉妹(弟?)で書いてくれたようです。

利用してくれる組合員さんの名前のむこうには暮らしがある、ということを改めて感じました。
ものを届けるということは、「ものを届ける」ということだけではないのですね。
いつも忘れてはいけません。自分へのメッセージでもあるな、と思いました。

2010年12月1日水曜日

十勝池田の小豆

舌ざわり、味、香り、色。
これらのバランスが小豆の風味を決めます。

北海道十勝池田町は、小豆の栽培限界地と言われており、気候条件から、これ以上北でも、東でも小豆は作れない、と言われています。ぎりぎりの厳しい環境がおいしい小豆を作るのです。それだけではなく、農薬や化学肥料を半分以下にするなど、見えないこだわりもたくさんあります。美味しい理由がいっぱいです。

この前の休み、はじめて小豆を煮てみました。
思いの外簡単でした。
小豆等の乾燥豆を煮ると時間がゆっくりと流れていきます。
一晩浸け置きし、煮るときは水加減にも注意して。
究極のスローフードです。

まずぜんざいにして食べました。その後つぶしてあんこにしました。
娘の誕生日でもあったので、「くるりんもっちー」(もち作りのおもちゃ)で餅を作りあんこ餅にして食べました。


風味がおいしい。
さすが十勝池田の小豆です。
中国産の豆はタンニン(渋味成分)が多いため、「渋切り」が2回必要なので、風味も飛んでしまい、和菓子屋さんからも敬遠されるそうです。国産との違いです。

たい焼き発祥の店であり、「およげたい焼きくん」のモデルにもなった東京麻布十番の「浪花家総本店」でもご指名されている、ここの小豆。

共同購入でご案内しています。
そんじょそこらでは(たぶん)買えませんよ。
自慢の小豆です。