名付けて、「真夜中の誘惑」。
ベトナム産の、あのどうしようもないフルーツが、見事な一品に。
チリソースっていうんでしょうか、ピリ辛のソースが、ぼんやりした甘さになんとも合う。これ、うまいっす。
僕と同い年の店長は、「あけび」と「夜のマレーシアのマーケット」をイメージして、この素材を料理してくれました。
連想と発想で、他にないものを作ってくれました。
彼は、ラーメンでも何でも、食べれば大体どんなものが味のもとになっているか分かるそうで、音楽でいう絶対音感と一緒だと思いました。「絶対味覚」とでもいうのでしょうか。
でも、何を使っているのか分るだけでは、きっと何にもならない。それだけじゃただの評論家になってしまう。
肝心なのは、それを活かす連想と発想と「腕」なのでしょう。
あと、遊び心か。
そうそう、相当な負けず嫌いも見えましたね。
たぶん、仕事抜きで、「味」が好きなんだなぁと感じました。
でも、今に全然満足していない気持ちも、ビシビシ伝わって来ました。
“我流”牛の煮込み。
超うまい。
“我流”に込められた自負とプライドがなんともいい。
的場浩司といっこく堂を足して2で割ったようなイケメン店長。
ぶっきらぼうで客に媚びないところがまた憎らしくもいい。
さりげなく書かれたお品書きの後ろにある彼の意気込みを勝手に想像しながら、次はどの“我流”を試そうか考える、そんな新しい楽しみを見つけた夜でした。