仙台発の始発はやぶさに乗って青森に来ました。
山菜の水煮工場が目的地です。
青森は山菜の産地です。
まあ山さえあればどこでも産地ですが。
細竹が満杯につまった袋をいくつも持ってきました。
今年も細竹は大不作なので、とてもとても貴重です。
計量して買い取りです。
おっとそう言っている間に、今度は近所のおじさんとおばさんが軽トラックで軽快にやって来ました。
荷台を覗くと、
ふきでした。
なんと今年はふきも極端に少ない。
ふきの場合は不作ではなく、取り手がいなくて、ものが集まらないそうです。
特に若い人がいない。
たぶん景気がいいからみんな都会に行っているんじゃないだろうかとのこと。
ここでも人手不足は深刻なのです。
来年の今頃まで国産では持たないかも、だそうです。
このふきはご自宅用のようです。
じゃあなんでここに持って来たんだ?
おや?
袋に入れはじめたぞ。
どんどん入れる。
全部入れていく。
ここでは、地域の方が収穫した山菜を持ってきて茹でてもらいに来るのです。
有料なのですが、とっても安い。
この「茹で賃」も、近隣の水煮工場によって値段は全然違うそうで、それはそれで競争なのだそうです。
でも、僕が思うに、茹でることを商売にはしていないのでしょう。だってびっくりするほど安いから。
地域サービスの一環であり、巡り巡って本業の原料集荷にもつながるんじゃないかな。推測ですが。
別料金ですが、一斗缶にカンヅメにしてくれたりもします。
グラグラの湯の中にふきをひとつ、ふたつ。
静かに静かに沈めていく。
茹でるのは職人技です。
茹で上がりの見極めは感覚なのだそうです。
あともう少しです。
ふきの香りがみんなを包んでいきます。
季節の香りだ。
傍らの日陰では、わらびの塩蔵が始まっていました。
農産物の全てに「生産者」がいるとは限りません。
山菜の中でも栽培しているものは「ふき」と「ぜんまい」「うど」くらいで、わらびや細竹、みずや山うどなんかはほぼ完全に天然物なのだそうです。
つまり山から取ってくるということ。
生産者ではなく、「採取者」という感じでしょうかね。きっと正しい呼び名はあるのでしょうが僕は知りません。
ちなみに一般的に「ぜんまい」は栽培ものの方が太いのだそうです。
また「ふき」は栽培ものの方が色が良い(青い)のだそうです。
へぇー。
そもそも「野菜」は野にあるもの。
栽培をして収穫するものは野菜ではなく本来は「蔬菜(そさい)」と言います。
だから卸売市場に行くと、野菜部ではなく「蔬菜部」という名称が多く見られます。
そして山にあるのが「山菜」。
まさに山の幸だ。
山菜は本当に手がかかる。
昔の人にとっては当たり前のことだったのでしょうが。
一連の流れを見ましたが、「山菜の水煮」って、すごい便利だ。
先人の暮らしの知恵が詰まった、画期的な加工品なんだと思いました。
わらびには「青わらび」と「紫わらび」があると教えてもらいました。
ほんとだ。2色だ。
知らないことがいっぱいで、自分の不勉強加減に恥ずかしくなりながらも、それ以上に刺激的でした。
知らないことを知るって、とても新鮮だ。
山の幸。季節の味と香り。持ちつ持たれつで地域と生きること。
そして、それを取り巻くいろいろ。
もっと勉強しようと思います。
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